「木造仮設」へ関心高く 下有住の中上団地で払い下げを前に見学会 2日間で約190人来場

▲ 気仙内外から多くの人が訪れた見学会

 住田町は、東日本大震災を受けて旧下有住小学校校庭に整備した応急仮設住宅中上団地48戸の払い下げを行うにあたり、7、14の両日に現地で見学会を開催した。同団地の入居者は昨年7月をもって全員が退去。戸建ての木造で、エアコンや風呂、キッチンなどの付帯備品も含み価格は1戸1万円となっており、見学会には気仙内外から2日間合わせて約190人が来場して購入を検討。震災後、町が独自に整備した木造仮設住宅への関心の高さがうかがえ、町では「いろいろな方に活用してもらえれば」としている。払い下げ申し込みは今月28日(月)まで受け付けている。


28日まで申請受付

 

 町は震災前から、地元の木材や技術を生かそうと災害時に使える木造仮設住宅を検討。平成23年3月11日に襲った未曾有の大津波によって気仙両市では多くの住宅が流され、沿岸部全体をがれきが覆った中、町は発災から3日後に木造仮設住宅の建設を決断した。
 仮設住宅の建設地は、世田米地内の町営住宅跡地と旧住田幼稚園跡地、旧下有住小学校校庭の3カ所を選定し、4月から5月にかけて完成。町が整備した仮設住宅は、従来のプレハブ工法の長屋タイプとは異なり、戸建ての木造タイプ。壁には断熱材を木材で挟み、気仙内陸部の厳しい寒さに応じた工夫を凝らす〝優しさ〟も込められ、プレハブとは異なるスギの香りとぬくもりを入居者に届けた。
 3カ所合わせた入居世帯はピーク時には91世帯だったが、発災から4年後の27年3月には43世帯と半数以下になった。その後は28年3月に33世帯、29年3月に24世帯、30年3月に19世帯、31年3月に16世帯と年々減少していき、昨年7月をもって全世帯が退去となった。
 見学会には7日に約50人、14日には約140人が来場。気仙2市1町だけでなく、奥州市や花巻市、北上市、盛岡市など内陸部からの来訪も多かった。一般だけではなく企業関係者の見学もあり、来場者は町職員の説明を受けながら仮設住宅内部や付帯備品を見て回った。
 花巻市から訪れた柳原美津子さん(71)は「木造仮設住宅の実物を見たのは初めて。作業小屋か物置として使えないか見に来た。解体、運搬の予算も見ながら検討していきたい」と話していた。
 中上団地の48戸はすべて同じ構造で、1戸当たり床面積は29・81平方㍍(9坪)。カラマツ材の杭基礎で、土台や柱、床にはスギの板や集成材を用いている。
 払い下げは建物本体に加え、エアコンや風呂、便座、キッチン、太陽熱温水器、物置、ペレットストーブなど付帯備品を含む。マツ杭から上部が対象で、水道は止水栓からとなる。
 対象者は①町内の自治公民館、町内の公的または公共的団体②町内に住所を有する個人、法人または任意団体③それ以外の個人、法人または任意団体──となり、希望者多数の場合は①②③の順で優先し、審査と抽選で決める。
 価格は付帯備品含め一式1万円。備品のみ希望する場合は1個当たり2000円となる。町内の自治公民館、公的または公共的団体は無料。7月上旬に決定、不決定の通知を申請者全員に送付する。
 現状引き渡しとし、解体・取り外し、移設費、運搬費といった再利用経費は払い下げを受ける個人・団体が負担。町内の自治公民館や公的団体、町内に住所がある個人、法人を優先するが、他市町からの応募も可能。決定から2週間以内に代金を納入し、9月30日までの撤去(移設)を求める。
 払い下げ申請書などは町のホームページ(https://www.town.sumita.iwate.jp/docs/2021053000029/)からもダウンロードできる。
 問い合わせは町総務課管財係(℡46・2112)へ。