住田オフィスを開設 東京都のBICP社 マーケティング支援目的に

▲ 住田オフィスの責任者に就任した伊藤さん。同オフィスを拠点に、地域活性化に取り組んでいく

 東京都に本社を置くマーケティング会社・㈱ベストインクラスプロデューサーズ(菅恭一代表取締役社長、以下BICP社)は10日、住田町世田米の世田米商店街一画に「住田オフィス」を開設した。地域、行政、地域企業のマーケティング活動支援を目的としたもので、同オフィス責任者には、東日本大震災を契機に同町と関わり続け、同社入社時から東京と住田の2地域に居住しながらマーケティング支援、地域づくりに従事する伊藤美希子さん(42)が就任。伊藤さんは「マーケティングの力で地域課題解決にチャレンジしていきたい」と意気込む。


 BICP社は、東京本社に加えて大阪に関西オフィス、米ニューヨーク州にニューヨークオフィスを構え、大手企業を中心にマーケティング戦略、データ活用戦略、チームビルディングの支援を展開してきた。
 神奈川県出身の伊藤さんは、東京工業大学大学院を卒業後、都内の広告会社に就職。平成23年の東日本大震災発生後、同大学院時代の先輩が住田町で立ち上げたコミュニティー支援団体「邑サポート」の活動に参加したことで、住田町との関係が生まれた。仕事と並行して邑サポートの活動にも携わり、時間の許す限り住田を訪問。2度目の転職でBICP社に入社し、新型コロナウイルスが感染拡大する前には、1カ月のうち岩手に5日間、東京に10日間といったサイクルの〝2地域居住〟を続けてきた。
 現在もリモートで日々の業務に励みながら、邑サポートにも所属してさまざまな活動を展開。こうしたつながりから、BICP社では住田町にもオフィスを開設し、地域に根ざしたマーケティング支援を行っていくこととした。
 オフィスは、元々鮮魚販売店だった場所を改装。床材には町産のスギを使用し、「地域の人に寄ってもらえるように」と、入り口の広い、開放的で温かみのある空間とした。
 同オフィスが提供するサービスは、地域、特産品、観光などにおけるブランド開発や商品・サービスの開発、PR企画、企業と地域との連携に向けたコーディネートなど。
 「地元の人には当たり前だが、外部からの視点で見ると魅力的なものがたくさんある。それらの豊かな資源を再発見していければ。マーケティングも同じで、資源の価値を再定義することで売れるようになる。10年間、住田に通ってきたのは、このまちが受け入れ続けてくれるから。これまではコミュニティーや地域づくりが主だったが、今後はマーケティング視点でも関わりたい」と語る伊藤さん。豊かな資源を持つ同町で、地域とともにまちの活性化を目指していく。
 「まだオフィスを立ち上げたばかりだが、人口減少が進み、縮小していく社会の中で、マーケティングの力でどうそれらの課題を解決していけるかにチャレンジしていきたい」──。住田との関わりはこれからも続いていく。