復興の道 踏みしめて 気仙両市で東京オリンピック聖火リレー 県内外の21人がつなぐ

▲ 気仙両市で東京オリンピック聖火リレーが行われ、地元出身のランナーらが聖火をつないだ=大船渡市

 東京2020オリンピック聖火リレーは岩手県2日目の17日、気仙両市を含む沿岸8市町村で行われた。大船渡市、陸前高田市それぞれのルートには、地元在住者をはじめとする県内外のランナー計21人(1人が辞退)が参加。沿道の地域住民らの熱い思いに応えながら、東日本大震災後の復興事業が行われた新たな道を一歩一歩踏みしめて聖火をつないだ。両市ではそれぞれ、最終ランナーを迎えるセレモニーも行われ、被災から10年が経過した気仙の今と、国内外から寄せられた復興支援への感謝を届けた。

 

 国内でのオリンピック聖火リレーは、3月25日の福島県楢葉町を皮切りに、開会式が開かれる7月23日(金)までの121日間で47都道府県を巡るもの。岩手県は39道府県目に当たり、今月16日~18日の3日間、住田町など5町村を除く28市町村で行われる。
 初日は、雫石町から久慈市までの10市町村をランナーらが継走。2日目は午前9時42分に岩泉町の岩泉高校を出発し、田野畑、宮古、山田、大槌、釜石の各市町村を経由後、気仙入りした。
 第7区間となった大船渡市は、震災後の新たな中心市街地として形成された大船渡町のJR大船渡駅周辺地区が会場。夢海公園からサン・アンドレス公園までの延長2・42㌔のルートを県内外のランナー11人でリレーするもので、気仙からは第1走者の熊谷侑希さん(36)=同市末崎町、第4走者の米谷春夫さん(74)=陸前高田市竹駒町、第5走者の金野拓翔君(13)=同市米崎町、第8走者の向澤茂さん(45)=大船渡市三陸町綾里、第9走者の金野広充さん(57)=同市大船渡町=が参加した。
 午後6時、聖火がともったトーチを手に、熊谷さんがリレーをスタート。熊谷さんは沿道に詰めかけた地域住民らの拍手などに手を振って応えながら県道丸森権現堂線を北上し、第2走者のナバロ絢加さん(26)=埼玉県宮代町=とトーチキスで聖火をつないだ。
 その後も、聖火はランナーたちの手でリレーされ、大船渡駅周辺を1周後、県道丸森権現堂線を南下。最後のリレー地点となったサン・アンドレス公園入り口では、同市出身で平成4年のバルセロナオリンピックに男子バレーボール日本代表として出場した栗生澤淳一さん(56)=広島県広島市=が聖火を受け継ぎ、サポートランナーである大船渡北小学校の児童20人とともにゴールした。
 同公園では「ミニセレブレーション」が開かれ、大船渡高校吹奏楽部のアトラクションも交えて栗生澤さんの到着を祝福。栗生澤さんは「被災したふるさとに一日も早く元の生活が戻るよう祈っている。バレーボールでは、日ごろボールに気持ちを込めてプレーしているが、きょうはボールの代わりに聖火を持ち、次へとつながせてもらった。本当に感無量」と話していた。
 聖火はこのあと、陸前高田市に移り、午後7時12分に第1走者の清水祐真君(16)=同市高田町=が気仙町・高田松原復興祈念公園内の「奇跡の一本松」をスタート。
 その後は第2走者の大和田海雅君(15)=住田町世田米、第3走者の佐々木豊秋さん(71)=同町上有住、第6走者の米澤伸吾さん(44)=陸前高田市高田町、第9走者の荒木優さん(30)=同=を含む県内外のランナー9人が夕闇に聖火の光を照らしながら、高田町・アバッセたかたまでの2・45㌔をリレーした。
 アバッセ駐車場では、最終ランナーのゴールを祝う「セレブレーション」も開催。この中では、高田高校書道部がパフォーマンスで花を添え、会場を挙げて10人目のランナー・村上紗也子さん(15)=同=を迎えた。そして、岩手のリレー最終日の第1区間である一関市に聖火を引き継いだ。
 18日は、同市から盛岡市までの10市町をランナー102人がリレーする予定。