スペインとの友好〝再興〟を 縁示す横断幕掲げる 黄金の海プロジェクトがサン・アンドレス公園で(別写真あり)
令和3年6月19日付 3面
気仙の地域資源や歴史を生かしたまちづくりに取り組む「黄金の海・ケセンプロジェクト」(村上守弘会長)は17日夕、東京五輪の聖火リレーに合わせ、大船渡市大船渡町のサン・アンドレス公園で独自で制作した横断幕を掲げた。コロンブスが乗船した「サンタ・マリア号」の復元船が平成4年にスペインから寄港した際にデザインした旗や、姉妹都市となっている同国のパロス市などの旗を配置。国際交流のさらなる盛り上がりに期待を込めた。
姉妹都市締結から来年で30年の節目を迎える中、国際イベントである東京五輪を契機に関心を高め、友好関係発展などにつなげていこうと企画。横3・1㍍、縦70㌢で加工した板状の2枚に、大船渡市とパロス市、日本、スペインの各旗に加え、寄港に合わせて当時の大船渡青年会議所が「後世に残していこう」と制作した記念の旗を並べた。
サン・アンドレス公園入り口は、市区間では最後の聖火リレー地点。同市出身で平成4年のスペイン・バルセロナオリンピックに男子バレーボール日本代表として出場した栗生澤淳一氏=福井県越前市=が聖火を受け継ぎ、サポートランナーである大船渡北小学校児童とともに走り出した。
同プロジェクトのメンバー約10人が横断幕を掲げ、スペインにゆかりある市出身者が駆け抜ける姿を見届け、30年前の心温まる交流の証しを発信。村上会長は「多くの住民の方々がスマートフォンで撮影してくださり、関心の高さを感じた。30年前に大船渡港や気仙に光を当てた活動を思い起こし、後世につなげていきたいと思いを強くした」と話していた。
同公園は、大船渡港野々田地区整備事業の一環で平成4年に完成。公園の名称は公募で決定し、慶長16年(1611)に伊達政宗の許可を得て伊達領沿岸の測量を行っていたスペイン使節、セバスチャン・ビスカイノが大船渡湾の景観をたたえて「サン・アンドレス湾」と名付けたことに由来している。
平成4年は市政施行40周年にあたり、スペイン・パロス市との姉妹都市提携、「黄金の国」を探したコロンブスの旗艦である「サンタ・マリア号」の復元帆船入港と、産金地としての気仙の歴史も踏まえた記念行事が相次いだ。
公園は平成23年の東日本大震災で被災したが、県による復旧工事を経て、昨年夏から本格供用。震災前から公園の顔であり続ける高さ約20㍍の展望台に加え、防潮堤の圧迫感をやわらげる築山や子ども向けの遊具、緑地空間など、憩いの機能が整った。
コロンブスはスペイン王室の支援を受けながら、マルコ・ポーロが『東方見聞録』で記した「黄金の国ジパング」を目指して航海を続け、アメリカ大陸への到達に至った。同プロジェクトは、平泉の黄金文化を支えた気仙の産金の歴史文化を生かした地域活性化に取り組んでいる。
こうしたつながりを生かし、来年の姉妹都市30年の節目に加え、ILC(国際リニアコライダー)の誘致実現に向けた国際交流などに合わせた活動も見据える。同プロジェクトでは「姉妹都市の由来を改めて呼び起こすことで、来年に向けて盛り上げていきたい。産金文化の見直しや再発信にもつながれば」としている。