地域を見守り続けて 今泉で斗螢稲荷神社竣工式 復興工事に伴い改修・移転

▲ 移転再建された斗瑩稲荷神社で竣工式を開催

 陸前高田市気仙町今泉地区の「鉄砲町・神社仏閣を守る会」(長沼正宏代表)は20日、東日本大震災後の復興工事に伴い改修・移転された斗瑩(とけい)稲荷神社の竣工式を現地で開いた。地域住民によって長きにわたり信仰されてきた神社が、今後も地域を見守り続けるよう願った。

 

 守る会や今泉地区コミュニティ推進協議会(菊池満夫会長)の関係者ら15人が出席。社殿の建設地を管理する龍泉寺の江刺秀一住職が先人供養の法要を行い、焼香のあと、出席者全員で二礼二拍一礼した。
 菊池会長(68)は「震災で多くの遺跡や史跡が流失してしまったが、新しいまちの一画に神社が再建されたことは、意義あるものだと思っている。今後も地域のみなさんでまつり、今泉の復興と地域の幸せを見守っていただきたい」と祝っていた。
 守る会によると、同神社は宮城県古川市(現・大崎市)の荒谷に鎮座する同名の神社から信仰が伝わり建てられたとされ、古くから地域住民に親しまれていたという。
 寛政6年(1794)に気仙村(現・気仙町)で生まれたとされる幕末の剣豪・千葉周作は、荒谷の斗瑩稲荷神社で少年時代を過ごしたといい、長沼代表(83)は「このころに(今泉に)分霊されたのでは」と語る。
 震災前は、今泉の旧鉄砲町三本松地域の高台に斗瑩稲荷神社の社殿があり、毎年例祭の時期には同地域の住民が世話をしていた。震災では大津波被害を免れたものの、土地区画整理事業で道路を整備するため、移転を余儀なくされた。
 鉄砲町の有志でつくる守る会では、同市と物件移転補償の契約を交わしたうえ、平成28年4月に旧社殿を解体。土地を借り、㈲伊東組の施工によって、今年5月10日に新しい社殿と鳥居が完成した。
 社殿は床面積4・5平方㍍で、震災前と同じ大きさ。中には、旧社殿にまつられていたご神体のお稲荷様、鈴、さい銭箱などが収められた。
 長沼代表は「神社は五穀豊穣や家内安全、商売繁盛などの御利益があると聞いている。神社の存在を広く知ってもらい、今後も信仰していただきたい」と話していた。