職人育てる拠点 船出 職業訓練校が完成 震災で全壊 市が整備
令和3年7月1日付 7面
式典では設計・建設事業者への感謝状贈呈も[/caption]
竣工式には、市や同協会などの関係者ら約30人が出席。戸羽太市長は「訓練校を整備した場所は陸前高田市のへそ。技の伝承の拠点となるとともに、市民や観光客が訪れるにぎわいの場所ともなってほしい」と期待を述べた。
設計・施工を請け負った4社に感謝状を贈呈。施設前でテープカットを行い、施設の完成を祝った。
木造建築科3年で、㈱吉田建設で勤務する吉田貴公さん(35)=気仙沼市=は「とても立派な建物ができて驚いている。訓練生としては本年度が最後の年。精いっぱい頑張り、現場で生かせることを一つでも多く学びたい」と思いを新たにした。
同校は昭和45年、高田町にあった旧高田中校舎を活用して開校した。震災で被災したあと一時休校し、平成27年度から小友町の「杉の家はこね」を間借りして再開。限られた設備面などを踏まえ、従来開設していた木造建築、建築設計の2科のうち、木造建築科のみ訓練を続けてきた。
新校舎は整備中の市立博物館西側で、昨年10月に着工した。総事業費は約1億2000万円。木造平屋建てで床面積約220平方㍍となっている。
校舎内には、実技、学科、多目的の各訓練室、事務室、加工機械室を備える。気仙大工の意匠を凝らした周辺の施設と調和したデザインで、卓越した技量を持つ「職人の里」を建物を通じて発信する。
訓練生は現在、木造建築科の3人。協会は5月、会員・訓練生加入や自主事業企画などを推し進める3部会を下部組織として新設し、今後、新校舎を使って市民向けの木工教室なども開催していく考えだ。
村上会長は「素晴らしい施設が形となり、これから腰を据えてさまざまな事業を展開できる。既成概念にとらわれず、新たな取り組みにも挑戦し、地域を元気にしていきたい」と抱負を語った。
感謝状を受けた事業者次の通り。
㈲佐藤設計(佐藤晴男代表取締役)、鈴木建設㈱(鈴木健二郎代表取締役)、出穂建築事務所(藤原出穂代表)、㈲共和建設(高萩純代表取締役)