「かもめの玉子」がパンに さいとう製菓監修で白石食品工業(盛岡)が商品化  観光業復活への思いも

▲ 「かもめの玉子パン」を手にする齊藤社長㊨と白石社長

 大船渡市のさいとう製菓㈱(齊藤俊満代表取締役社長)が監修し、「シライシパン」で知られる盛岡市の白石食品工業㈱(白石雄一代表取締役社長)が製造する「かもめの玉子パン」の販売が、東北6県を中心に1日から始まった。菓子パン生地を生かし、黄み餡とカスタードクリームのバランスで三陸銘菓の雰囲気を表現。新型コロナウイルスの影響で落ち込む観光業再興などへの思いも込め、両社は「これからも、面白く楽しい商品を」と意気込む。

 

東北中心に販売開始

 

 盛岡市内で同日、商品発表会が行われ、齊藤社長と白石社長が並んで出席。白石社長は30年以上前から、商品配送などで取引があった縁に加え、県外から中途入社した社員からの「非常においしい菓子で、パンにできたらいいね」といった声から企画が動き出した経緯も明かした。
 そのうえで「日常の中で、もう一度味を思い起こしてほしい。いずれは、新型ウイルスの影響が収束し、観光業も復活する。パンを食べていただき、活発になった時には、おみやげとして菓子を使ってほしい」と述べた。
 一方、齊藤社長は「パンで表現するのは、とても難しいのではないかと思ったが、熱意を感じて商品化に取り組んだ。試作を繰り返してもらい、その都度、試食も行い、こちら側もアイデアも出した」と振り返った。

東北6県のスーパー、コンビニエンスストアで販売が始まった「かもめの玉子パン」

 東日本大震災から10年が過ぎた今も被災地はまだ復興途上にあり、コロナ禍で苦しむ現状に言及。「少しでも明るい話題になれば。はやりの高級食パンやフルーツサンドのように注目され、ヒット商品になるよう願う」と力を込めた。
 発売が始まったパンは、ソフトな食感の菓子パン生地の中に、黄み餡とカスタードクリームを入れ、ホワイトコーティングで仕上げた。パッケージも菓子商品を連想させるデザインで、パン売り場の中でも映えやすい。
 こだわりの一つが、黄み餡とカスタードクリームの併用。白石食品工業の奥堂剛士商品開発部課長は「かもめの玉子と同様に、カスタードクリームを使わずにいきたいと考えていたが、なかなか『たまご感』をパンとして演出できなかった中で、さいとう製菓さんの方からアドバイスをいただいた。試行錯誤して〝黄金比率〟にたどりついた」と語る。
 時間が経過しても、ぱさつきが少ない生地配合を目指し「やわらかく、おいしい」を表現。夏場の発売とあって、冷やしても味わえるのも特長だ。
 マイヤなど東北6県のスーパーに加え、主要チェーンのコンビニエンスストアでも販売。初日から3日間で10万個の受注があったという。店頭価格は1個130円~120円が予想される。
 販売期間は10月末までだが、両社は「第2弾以降は、季節限定の商品などを検討したい」と意気込む。収益金の一部は、東日本大震災の復興支援金として寄付する。