さわやかな香り 楽しんで 保存会が初の摘み取り会 末崎町中森のラベンダー畑(別写真あり)
令和3年7月4日付 7面

大船渡市末崎町ラベンダー畑保存会(土井尻明子代表)が主催する「花の摘み取り会2021」は3日、同町字中森地内のラベンダー畑「Lavender wind〜癒やしの畑〜」で開かれた。碁石海岸のラベンダー畑を維持管理し、摘み取り会の継続を目的に活動する保存会としては初の開催となり、市内外から幅広い世代の約50人が参加。参加者らは、碁石海岸に咲いたラベンダーの花々のさわやかな香りを感じながら、摘み取りを楽しんだ。保存会では今後も管理に取り組み、摘み取り会を継続させていきたい考えだ。
来年以降も開催継続へ
ラベンダーはシソ科の植物で、ハーブの一種。碁石海岸では二十数年前、地元住民らが「碁石ハーブ研究会」を結成。遊休農地の活用や景観形成を目的に、市消防団第4分団第5部屯所付近にある2カ所の畑で栽培を始め、平成10年からは「ラベンダーまつり」を開催するなど地域の観光振興にも一役買ってきた。
しかし、高齢化進行に伴う管理の負担などから、研究会は21年に解散。22年度からは市が植栽管理を担い、東日本大震災後の24年度からは摘み取り会を開いてきたが、行政改革による事務事業の見直しを理由に令和2年度で畑の管理を終えた。
当初、ラベンダー畑は市の管理終了に合わせて地権者へ返却する予定だった。こうした中、震災後に団体「ラベンダーウィンドネットワーク」を立ち上げ、碁石のラベンダーを活用して市に畑の維持管理費を支援してきた猪川町出身のソプラノ歌手である土井尻代表=山梨県富士吉田市在住=が保存会を設立。保存会が一部を除く畑を借り受け、市民らの協力も得ながら摘み取り会の継続に向けて管理を行ってきた。
会の設立後、初めての摘み取り会となったこの日は心配された雨も開始直前にやみ、参加者らは受け付けや消毒などを済ませたあと、畑に入って収穫をスタート。ラベンダーの花々からはさわやかな香りが漂い、訪れた人々の心を和ませた。
参加者らは、手にしたせん定はさみで花を摘み取っては用意された袋に入れ、収穫作業を楽しんだ。会場では市民ボランティア15人が運営を支え、碁石海岸のラベンダーを使った手作り品などの販売も行われた。
釜石市から家族で訪れた千田愛結さん(双葉小学校3年)は「はさみでラベンダーの花を摘むのが楽しかったし、花はきれいで、いいにおいがした」と笑顔を見せていた。
保存会では今回、畑の一部を観賞用として残しており、今月20日ごろまでは地域住民や碁石海岸を訪れる観光客らにラベンダーの花々を楽しんでもらう計画。今月下旬には「せん定作業」を募金形式で開き、希望者には摘んだ花を持ち帰ってもらう予定としている。作業の日程は後日、保存会のホームページ(https://lavenderhozonkai.webnode.jp/)などで発信する。
保存会世話人の土井尻季恵さん(76)は「初めての摘み取り会が無事に終えられてほっとしている。せん定作業までの間は、花々の眺めと香りを多くの方々に楽しんでもらいたい。また、来年度以降の摘み取り会も継続していきたい」と話していた。