住田町長選/8年ぶり無競争の公算大 立候補表明は現職のみ 告示まで1週間 

神田謙一氏

 任期満了に伴う住田町長選は、13日(火)の告示まで残り1週間に迫った。5日現在で立候補を表明しているのは、1期目の現職・神田謙一氏(62)=下有住=のみ。神田氏以外に新人の擁立や起意の動きは見られず、〝無風〟の状態が続く。このほど開かれた立候補予定者説明会や届出書類事前審査会への出席も神田氏陣営のみで、前々回選以来の無投票となる公算が極めて大きい。

 

対抗馬の動き見られず

 

 今町長選は、8月4日(水)の任期満了に伴うもの。昭和30年の町制施行以来18回目で、7月13日(火)告示、同18日(日)投開票の日程が組まれている。
 これまでに立候補を表明したのは、現職の神田氏のみ。「さまざまな声をいただく中で、後援会役員と協議して出馬を決めた」とし、町議会3月定例会で「多くの町政課題に真摯(しんし)に取り組み、先も見据えた町民福祉の向上に向け、次期町長選に起意することとする」と再選出馬への意思を明らかにした。
 神田氏は、日本獣医畜産大学大学院修士課程修了。昭和59年に住田町農協に入り、合併した陸前高田市農協を経て、平成19年に住田フーズ㈱取締役生産部長、24年に同社常務取締役に就いた。
 4期を務めた多田欣一氏=世田米=が勇退を表明し、16年ぶりに「新リーダー」を選ぶこととなった平成29年の町長選に初出馬。町議を辞して臨んだ水野英哉氏(65)=上有住=との一騎打ちを144票差という僅差で制し、初当選した。
 就任後、「住民生活の基本である『医・食・住』の充実」を掲げて町政運営に取り組み、各分野で独自カラーを打ち出している。一方、木工団地2事業体の破産問題を巡っては現在、両事業体の連帯保証人とその相続人に対して融資の未返済分や利息、遅延損害金合わせて約10億5000万円の支払いを求める裁判が行われている。
 訴訟ではこれまでに、被告男性1人に支払い命令の判決が下されたが、このほかの被告18人は請求棄却を求めて争う姿勢をみせている。
 結審までには長い時間を要するとみられる中、町のトップには今後、融資判断の根拠や妥当性、結果責任など一連の問題を総括して町民に説明を果たしていく姿勢が求められる。
 同町ではこのほか、毎年約100人ペースで続く人口減少、農業者の高齢化や後継者不足、耕作放棄地の増加など、従前からの課題が山積。新型コロナウイルスの感染拡大防止や事業者支援、ワクチン接種にかかる医療体制強化などの対策も喫緊の課題だ。
 神田氏は、1期目で掲げた医・食・住の各種施策に加え、林業振興に引き続き取り組んでいく意欲を示す。政党、団体への推薦要請はせずに無所属で出馬する意向で、「〝住民党〟で臨む」と語っている。
 6月22日に開かれた立候補予定者説明会や同30日の立候補届出書類事前審査会への出席は神田氏陣営のみで、対抗馬の動きはまったく見られていない。
 同26日、神田氏陣営では下有住で選対事務所開きを行い、後援会組織・神田謙一と明日の住田を創る会(泉金一会長)の役員や支持者ら約30人が参集。無投票の可能性が高まる中、役員や支持者は「気を緩めずに、選挙戦のつもりで臨む」として結束を誓った。
 事務所開き後も、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために決起集会などは行わず、大人数での集まりを避けながら、世田米、大股、下有住、上有住、五葉の後援会各支部ごとに支持拡大を図っている。
 今町長選を巡っては現在、神田氏以外に起意や擁立の動きはなく、無投票の公算が大きい。このまま対抗馬が現れなければ、平成25年の前々回選以来、8年ぶりの無投票となる。
 今月1日現在、同町の有権者数は4577人(男2239人、女2338人)。前回選投開票日と比べて455人少ない。