貝の真珠層の可能性に迫る 市立博物館 海と造形コーナーを刷新(別写真あり)

▲ リニューアルされ、貝が持つ真珠層を解説している「海と造形コーナー」

 大船渡市末崎町の市立博物館(長澤敏之館長)は、今週から常設展示の「海と造形コーナー」をリニューアルし、アワビなどの貝が内面に持ち、輝いて見える真珠層を詳しく紹介している。層の仕組みや特長を解説し、硬く頑丈な機能性から、人間の未来の生活への活用の可能性にも迫っている。
 海と造形コーナーは、海から生み出される造形の優れた美しさや機能性を紹介。刷新したコーナーは「海からのおくりもの」をテーマに、エゾアワビやクロアワビの貝殻約20点とともにパネル4枚を展示し、解説している。
 同館によると、真珠層は貝殻の内面の身に接する虹色に輝く部分で、古くからの原始的な特長を残すアワビやアコヤガイなどの貝だけが持つ。
 層は貝が出す分泌液から作られ、主な成分の炭酸カルシウムとタンパク質が薄く幾千、幾万にわたって重ね合わさることで虹色の輝きと強度が生まれる。貝自身に色はなく、薄い層に光が当たると、反射と屈折を起こし、輝いて見えるという。
 貝の真珠層は、木や漆の工芸品にちりばめる「螺鈿細工」に用いられ、馬に騎乗する際の馬具「鞍」や平泉町の世界遺産・中尊寺の金色堂の柱に使われている。貝ボタンやアクセサリー、ルアー製作にも活用されている。
 真珠層は生物が作り出す中で最も硬い物質の一つと分かっており、近年では建物や車のコーティングなどに利用できないか研究が進められているという。
 同館の古澤明輝学芸員は「大船渡でもなじみ深いアワビは普段は身に目が行きがちだが、殻も貴重で捨てるところがなく、耐水ペーパーなどで磨くだけで真珠層が現れ、強度や輝きは代替できる物がないといわれている。アワビをもっと知り、理解を深めてほしい」と呼びかける。
 開館時間は午前9時~午後4時30分(受け付けは同4時まで)。毎週月曜日(祝日の場合は翌日の火曜日)は休館。
 入館料は一般個人300円。20人以上の団体は1人250円。高校生以下は無料。