きょう約2㌧を出荷  広田湾産エゾイシカゲガイ 今季初、数量増に期待 (別写真あり)

▲ 水揚げ作業を行う漁業者ら

 陸前高田市の広田湾漁協(砂田光保組合長)は11日、同市でブランド化を図るエゾイシカゲガイの今季の出荷を開始する。初日は約2㌧を東京などの市場に出荷予定。貝毒や新型コロナウイルスの影響を受ける一方、今季分は成育が順調なことから、出荷数量の増加に期待が高まっている。
 当初は6月中旬からの出荷を予定していたが、貝毒検出のため時期が遅れた。初出荷に合わせ、前日の10日は各浜で水揚げ作業が行われた。
 このうち、気仙町の要谷漁港では、漁業者らが船から下ろした貝を水で洗い、出荷サイズ5・5㌢以上の大きさのものを選別。複数人で連係し、手際よく作業を進めた。
 同漁協によると、この日は気仙支所で1㌧、米崎・小友支所で0・7㌧、広田支所で0・2㌧の水揚げがあった。
 11日は、1・2㌧を東京都中央卸売市場の豊洲市場に、残りの約0・8㌧を東北や関西などの市場に出荷する。その後は、新型ウイルスの情勢にも応じながら、週5日のペースで水揚げを行っていく予定。
 同漁協広田湾産イシカゲ貝生産組合の熊谷信弘組合長(65)は「昨年に続き、コロナ禍により需要がどうなるのか分からない。不安はぬぐえないが、数量は十分確保できるという見通しもある。漁協の目標値に近づけられるよう努めたい」と力をこめる。
 エゾイシカゲガイは、濃厚で独特の甘みがあり、すし店や料亭などで扱われる高級二枚貝。同市では全国で唯一、産業ベースで養殖を行っており、「広田湾産イシカゲ貝」の名でブランド化にも力を入れている。
 東日本大震災では養殖施設が壊滅したが、平成26年から出荷を再開。同漁協では年間100㌧の生産を目指し、市も生産体制強化を支援している。
 稚貝が出荷サイズになるまでには2年〜2年半の時間を要す。稚貝は天然のもののみ扱っているため、生産量は年によってばらつきがあり、同組合では安定供給の実現に向けて試行錯誤を重ねる。
 同漁協によると、今季出荷分は、稚貝不足や成長不良、貝毒などの影響により数量が伸び悩んだ令和元年、2年と比べ、稚貝の成育が順調に進む。事業計画では、今季取り扱い数量について、前季実績より56・7㌧多い90・1㌧を目標に掲げており、過去最多だった平成29年の68㌧を上回る可能性があるという。