三陸国際芸術祭 本年度も開催 プレ企画で三鉄ラッピング 児童が発信デザイン制作(別写真あり)

▲ 井上さん㊨と三陸鉄道のラッピングデザインを考える児童、生徒ら

 三陸国際芸術推進委員会(中村一郎委員長)と文化庁は、郷土芸能を軸にした三陸地域の国際化や活性化を図る事業を展開する「三陸国際芸術祭」を一部オンラインで本年度も開催する。11日は大船渡市盛町のカメリアホールでプレ企画が行われ、京都府在住の美術家・井上信太さんと本県沿岸各地の児童が三陸鉄道の車両へのラッピングを通じた三陸地域の魅力発信に向け、デザインを制作した。

 プレ企画では「鉄路を彩る~三陸鉄道ARTラッピング」と題し、美術家と三陸鉄道沿線市町村の子どもたちが郷土芸能を含め、各地の魅力や風土を生かした列車のラッピングデザインを考案。今月3日に久慈市、4日に宮古市でも開かれた。
 沿線地域から集まった児童25人は、平成29年から大船渡市でワークショップを手がけてきた井上さんの指導で、久慈東高校美術部の生徒が下絵した多くのマグネットシートの上に、三陸にちなんだ海産物などの食材や、郷土芸能に用いられる道具、建物等を自由に描いたり、切り貼りしたりと工夫。大船渡高校の美術部員17人も助手として参加した。
 大船渡市の児童は、魚やワカメ、ツバキの花などをデザイン。完成した数々のマグネットシートを午後に盛駅で車両に貼り付けた。デザインはデータ化したうえで、今後ラッピング施工。8月9日(月)にリアスホールと盛駅で行う出発式で車両を披露し、来年7月までの1年間、通常運行される。
 大川翔万君(猪川小4年)は「ワカメをたくさん描き、(太平洋セメントの)セメント工場や(プロ野球・千葉ロッテの)佐々木朗希投手の背番号などもデザインした。完成したら、ラッピング列車に乗りたい」と楽しみにした。
 三陸国際芸術祭は、東日本大震災後にダンスを通じたコミュニティー支援活動を東北で展開していたNPO法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク(京都市)が平成26年に主催し、同市を中心に始まった。
 30年には、同市のみんなのしるし合同会社(前川十之朗代表)を含む民間団体と関係自治体で構成する推進委員会を組織。気仙3市町を含め本県と青森県の14市町村が参加し、郷土芸能の魅力発信や現代芸術、国外の芸能文化との交流イベントを開催している。
 本年度の主な事業は、新型コロナウイルス感染拡大の状況を踏まえ、全国から公募したアーティストが郷土芸能を習うプログラム「三陸芸能短期留学(アーティスト・イン・レジデンス)」を昨年に続き、オンラインで来年1月9日(日)~16日(日)に開催する。
 芸能団体の国際的な情報発信を目的に各団体の所在地や種類、分布を地図上に可視化し、同委員会ホームページでも閲覧できる「三陸芸能マッピング」をさらに充実させることなども計画している。