「将来へつなぐまちづくりを」 住田町長選で無投票再選  神田謙一氏に聞く 

 8月4日(水)の任期満了に伴う住田町長選で、平成25年の前々回選以来8年ぶりの無投票で再選を果たした神田謙一氏(62)=下有住。人口減少や新型コロナウイルスへの対応など課題が山積している2期目のスタートを前に、町政運営への思いを聞いた。(聞き手・清水辰彦)

 

「将来へつなぐまちづくりを」
人口減対策、産業振興に意欲

 

 ──無投票での再選。1期目の町政運営に対する評価をあおぐ機会はなかったが、どう受け止めているか。
 神田 告示日に町内を回った。平日にもかかわらず、多くの方々が沿道に出てきてくださった。1期目の4年間について、一定程度評価いただいているのではないかと思う。町民の皆さんの気持ちを受け止め、頑張っていきたい。
 ──持続可能なまちづくりを進めるに当たっては、人口減少への対応が重要となる。
 神田 人口減少が最大課題であることに変わりはない。交流人口、関係人口の拡大に向けた施策を進めており、それに加えて、当町は外国人比率が高いので、同じ町民の一員と位置づけて交流を促し、国内外問わず、関係人口、交流人口の拡大を図っていく。
 ──主産業である林業や畜産業の振興に向けた取り組みは。
 神田 どちらも当町における経済の主軸。林業については、川上から川下までの流れの中で、町内での木材循環が効率的になるようシステム化を図りたい。
 (輸入木材価格が高騰する)ウッドショックにより、林業業界には追い風が吹いている。事業者の皆さんにはその風をとらえていただき、行政としてもやるべきことをやりながら取り組みを進めていきたい。当町の事業者には、まだまだ連携が図れる部分がある。伐採、製材、加工といった流れがロスのない形になるようにしていくことも課題だ。
 畜産業は、日本の食料における動物性タンパクの供給源。岩手県においても畜産業の占めるウエートは高く、その一角に当町も位置づけられている。会社、事業者と課題などの情報を共有しながら、畜産振興に励みたい。
 ──過去に多額の融資を行った木工団地2事業体が昨年、破産申請した。昨年開かれた住民説明会では、町民から過去の経緯が知りたいという声が多々あった。現在、保証人らに対する裁判が行われているが、結審後に説明責任を果たしていく考えはあるか。
 神田 町民の疑問もその通りだと思うし、私自身も把握できていないことが多々ある。裁判の中で明らかになっていく部分もあると思うので、それを整理して町民にお示しし、理解をしていただきたいと思っている。
 ──新型コロナウイルスへの対策は。
 神田 現在も町民の理解を得ながら順調にワクチン接種が進んでいる。ただ、12歳未満の子どもたちにはまだワクチンを打てる状況にないので、町民の協力の下、予防意識を啓発しながら感染拡大防止に努めていきたい。
 経済は、特に飲食が大きな影響を受けている。国としての防疫が成立しないと、基礎自治体だけで対応できる問題ではないので、それも合わせて要望しながら、経済対策を進めたい。
 ──2期目の抱負を。
 神田 1期目はスタートの4年で、木工団地やコロナという大きな課題があった。木工団地については、けせんプレカット事業協同組合の協力で事業の継続と雇用の確保が図られた。コロナについては、順調に感染拡大防止が進んでいる中、その他の施策を含め、町民の皆さんのご協力によりなんとか取り組みを進めてくることができた。町民の温かいご支援、ご支持の中で、おおむね「及第点」はいただけたのかと思うが、それにおごらず初心に帰り、将来の子どもたちにこのまちをつないでいくために頑張っていきたい。
 町総合計画も2年目を迎える。来年が5カ年計画中間の3年目になることを踏まえ、施策については状況の変化を捉えつつ、より効果的なもの、見直すべき部分は見直しながら取り組んでいく。