初出品で全国2位に 平田さん(越喜来)が林野庁官賞 全農乾椎茸品評会こうしん大 葉厚肉の部で
令和3年7月21日付 7面
全国農業協同組合連合会(全農)が主催する第54回「全農乾椎茸品評会」の結果がこのほど発表され、大船渡市三陸町越喜来の平田聡一郎さん(63)が「こうしん大葉厚肉の部」で全国2位相当の林野庁長官賞を受賞した。毎日こまめな管理を続けて質の良い乾シイタケを生産し、初出品で高い評価を受けたもので、平田さんは「今後も良質なシイタケを作っていきたい」と意欲を見せている。
同品評会は、国産原木乾シイタケの生産拡大と生産農林家の経営安定を目的に毎年開催。こうしん大葉厚肉のほか、同大葉中肉、同中葉厚肉、同中葉中肉、花どんこ、上どんこの6部門があり、部門ごとに乾シイタケの形状、色沢、厚さなどを審査し、最高賞の農林水産大臣賞をはじめとする各賞を決め、上位入賞者が多く優秀な都道府県には団体優勝が贈られる。
第54回の品評会には、6部門合わせて岩手や宮城など19都県から611点が出品。例年は埼玉県で表彰式が開かれているが、今年は新型コロナウイルス感染症の影響で見送られ、受賞者には表彰状などが送付された。
平田さんは、妻・睦子さん(60)の勧めもあって平成29年から乾シイタケを生産。夫婦で県の勉強会などに参加したり、大船渡市農協などの関係機関から指導を受けて知識を深め、栽培技術を磨いてきた。
冬場の需要に対応しようとハウスで栽培を行っており、乾シイタケ用品種「菌興115号」を植えたコナラのほだ木約4000本からシイタケを生産。10月後半から4月にかけて収穫し、専用の機械で乾燥させてから出荷する。
出品した乾シイタケは、形成菌1年と2年のほだ木を主体にした2000本をハウス内で発生させたもの。栽培期間中の昨年12月以降は記録的な寒さに見舞われて生育が遅く、保湿管理に苦労したというが、平田さんは毎日生育状態を見ながら散水を繰り返して成長を促し、わずかな量でも適期での収穫を続けた。
こうしたこまめな栽培管理が実り、今シーズンは生産開始から初めて、年間最多の約75㌔を出荷。品質も良かったという。
出荷された乾シイタケを見た市農協から品評会への参加を勧められ、今年1〜3月に収穫したものの中から、大葉厚肉規格にそろえて出品。初参加ながら全国2位の高評価を受け、岩手県の団体優勝にも貢献した。
「林野庁長官賞と聞いて、最初は『まさか』とあっけにとられた。全国の品評会とは知らずに出品したので、受賞にはただただ驚いた。届いた賞状を見て、シイタケをやって良かったと思っている」と平田さん。
睦子さんは「市農協や日本きのこセンターの巡回指導、県の勉強会に参加して知識を得たおかげ」と関係機関の支えに感謝し、「何よりも、まめに管理を続けてきた成果が出て良かった」と夫の努力をたたえ、ともに喜んだ。
気仙のシイタケ生産は東日本大震災後、東京電力㈱福島第一原子力発電所の事故による放射性物質汚染や風評被害、出荷制限などのさまざまな影響を受けてきた。市農協や県大船渡農林振興センター林業振興課によると、再開を果たした生産者がある一方、いまだに地元産ほだ木が使用できないなど原発事故の影響が尾を引き、新規就農者も少ないなど厳しい状況が続いているという。
品評会の上位入賞者は多くがベテラン生産者で、1万本以上のほだ木から選りすぐった乾シイタケを出品。こうした中、出品時はまだ栽培経験4年で、少ない本数のほだ木から良質なシイタケを作った平田さんの快挙を、関係機関でも「とても素晴らしいこと」と評して喜んでいる。
平田さんは「ほだ場が小さく、拡大できない悩みもあるが、今後も生産を続け、いいものができれば品評会に出したい」と思いを新たにしている。





