タブレット端末の運用進む GIGAスクール構想 市内小中学校の授業などで

▲ 赤崎小学校で行われた「修学旅行プレゼン発表会」。6年生がタブレット端末を操作しながら授業を進めた

 大船渡市内の小中学校で7月から、教育現場におけるICT(情報通信技術)環境の持続的な実現のために国が取り組む「GIGAスクール構想」の一環で配備されたタブレット端末を活用した授業が進められている。市教育委員会では今後も、各校の教員を対象とした研修会を開催するなどして運用を促進し、児童・生徒、教員への理解、普及を図りたい考えだ。

 

教員向け研修会も

 

 GIGAスクール構想は、児童・生徒向けに1人1台の学習用タブレット端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備することで、子どもたち一人一人に個別最適化され、多様な子どもたちの資質、能力が一層確実に育成できる教育ICT環境を全国の学校現場で持続的に実現しようと、文部科学省が推進している。
 大船渡市では昨年度末までに、市内の11小学校と4中学校に、タブレット端末を用いた授業を円滑に進めるためのWi─Fiを整備。児童・生徒用のタブレット端末は、6月中旬までに小中全校に納品され、委託を受ける㈱システムベース(北上市)による完成検査を経て、今月から運用が開始された。
 市教育委員会では運用にあたって、今年5月に市内小中学校で情報教育などを担当する教員を対象に端末の基本操作や学習支援アプリの活用法などを確認する「ICT活用研修会」を開催。これ以降、各校では研修会に出席した教員が中心となり、運用に向けた準備を進めてきた。
 このうち、赤崎小学校(細川佳紀校長、児童119人)では20日、同校6年生19人が6月中旬に盛岡、平泉、花巻方面で実施した修学旅行の思い出や学びの成果を、パワーポイント資料でまとめ、「修学旅行プレゼン発表会」として5年生26人に紹介。資料作成にはタブレット端末を用い、5班に分かれた6年生が、クラウドベースで複数人が一つの資料を共同編集できる利点を生かしながら、約3週間で完成させた。
 発表会では、各班で作成した資料をスクリーンに示しながら、訪問した場所や施設、各種体験の感想、旅行を通じて学んだことなどを、写真と文章で説明。タブレットで資料を操作しながら、中尊寺で学んだ歴史や小岩井農場での自然体験、岩山パークランドでの思い出を生き生きと発表し、修学旅行を来年度に控えた後輩たちに、旅行の楽しさと行く意義を伝えた。
 川端寛人君は「遊園地で遊んだことなどをしっかりまとめ、伝えることができた。タブレットは慣れるまで難しかったけど、パソコンよりも使いやすいと思った」と話した。
 ICT教育のスムーズな運用開始につなげようと、放課後の時間などを使って教員らに研修を行ってきた同校。教員らに授業での積極的な活用を促しているといい、赤崎小では「児童たちには『習うより慣れろ』で、授業の中で端末に触れる機会を増やしている。これからは、ICTを学校生活のどんな場面で使っていくかを考えていかなければならない」としている。
 市教委では8月にも、本年度2回目となる小中教員向けの研修会を予定している。