買い物ゆっくり楽しんで スローショッピング開始 高齢者の外出後押し(別写真あり)

▲ パートナーに付き添われながら買い物をゆっくり楽しむ高齢者

 陸前高田市は29日、高齢者が安心して買い物を楽しめるよう見守りボランティアが付き添う「スローショッピング」事業を始めた。本年度は、高田町のアバッセたかたをモデル店に、毎週木曜日に実施していく。取り組みを通じて支え合う意識の醸成を目指し、高齢者の外出機会の創出、生きがいづくりにつなげていく。

 

 官民連携の新事業、支え合う意識醸成も

 

 同日は、高齢者6人が利用。「パートナー」の名で活動するボランティア10人が利用者1人に対して複数人で付き添った。会話を交わしながら利用者のペースに合わせてゆっくりと館内を回り、買い物を楽しんだ。
 広田町の蒲生シゲ子さん(87)は「皆さん親切で、大変ありがたかった。買い物で外に出るのなんて久しぶり。店の中を歩いて見るだけで楽しかったし、休憩場所もたくさんあって助かりました」と感謝していた。
 市は昨年度から、同事業実施に向けてアバッセ入居事業者や市社会福祉協議会と協議を重ねてきた。6月には「パートナー」向けに対応のあり方を学ぶ研修会を2回開催し、アバッセ従業員を対象に認知症サポーター養成講座も開いた。
 パートナーは毎週木曜日(祝日、お盆、年末年始除く)午後1時〜3時、アバッセパブリックスペースで待機し、その場で利用申し込みを受け付ける。
 利用者は時間内であればアバッセ全館で自由に買い物できる。スーパー「マイヤ高田店」のレジ1台を「優先レジ」に指定し、焦らずに会計できるようにする。
 利用無料で、予約も不要。活動時、パブリックスペースに置く「くつろぎサロン」と書かれた看板が目印。実施しながら周知を図り、来年度以降、実施店舗拡大を目指す。
 パートナーの菅野タエ子さん(62)=広田町=は「まだ手探りの状況だが、繰り返し実施しながらゆっくりと関係性を築いていきたい。将来的には、関心があるのに移動手段がないため利用できない高齢者への移動支援などの検討も必要だ」と先を見据える。
 市福祉課の佐々木学課長は「市が掲げる『ノーマライゼーションという言葉のいらないまちづくり』につながる事業。官民一体となって取り組んでいきたい」と意気込む。
 事業に関する問い合わせは、市地域包括支援センター(℡54・2111)へ。