「ゆかりのアスリート」後押しを 市が応援準備会組織を設置 朗希投手らの台頭受け

▲ 組織設立に向けて開かれた準備会

 大船渡市による第1回大船渡市ゆかりのアスリート応援準備会は29日、市役所教育委員会会議室で開かれた。大船渡高校からドラフト1位でプロ野球・千葉ロッテマリーンズに進んだ佐々木朗希投手(19)=陸前高田市出身=をはじめ、「みんなで応援を」といった声が多く寄せられている中、多くの住民が参画できる体制構築を見据える。準備会構成団体の各関係者は、大船渡から飛躍を広く後押しする環境づくりの実現や、8月中の本設組織設立を目指す方針などを確認した。

 

〝住民一丸〟体制構築見据え

 

 佐々木投手が今年5月に1軍初登板を果たした際には、市内のファンもテレビやインターネットでの中継にくぎ付けになった。次戦では1軍初勝利を飾り、今後も先発ローテーションの一画としての活躍に期待が高まっている。
 プロ入り前から「令和の怪物」として注目を浴び、市内では「市民みんなで応援する」体制構築を望む声が多かった。市としても、佐々木投手をはじめ高いレベルで挑戦を続けるアスリートは、市の活性化にも欠かせない重要な人材であることから、活躍を願って市民みんなで応援し、着実につながりを育むことなどを目的に、準備会の設置を検討してきた。
 準備会には、市や市体育協会、商工会議所、観光物産協会、首都圏さんりく大船渡人会の事務担当代表者ら計約10人が出席。市協働まちづくり部の新沼徹部長は「アスリートに感動をもらう機会は多く、市内では朗希選手の動向を家族のように気にかけ、応援している方が多い。堅苦しさがない形で応援の枠組みを構築したい」とあいさつし、理解を求めた。
 市側の趣旨説明では、佐々木投手だけでなく、Jリーグ・鹿島アントラーズの主力として長年チームをけん引した小笠原満男選手やプロ野球・ヤクルトスワローズで選手として活躍した志田宗大選手なども挙げ「ゆかりのアスリートは、市民に夢や希望をもたらす大きな目標」と強調。市民が参画しやすい組織体制や、金銭的・物質的な支援ではなく応援を基本とした活動の方向性を示した。
 当市のゆかりのアスリートとは、大学生以上のアマチュアや、プロスポーツにおける選手個人や競技団体で▽市出身のスポーツ選手及び市を本拠地とする競技団体▽市にゆかりあるスポーツ選手か団体──のいずれかに該当していれば対象とする。
 応援準備会は、出席者の所属団体に加え、オブザーバーとして大船渡高校野球部OB有志による「佐々木朗希選手を応援する会」が入る。事務局は協働まちづくり部生涯学習課に置く。会長は新沼部長、副会長は市体協の白﨑陽彦事務局長が務める。
 今後は、SNSサービスのツイッターに、アスリート応援専用アカウントを作成。佐々木投手をモデルとした応援の試行にも入り、登板情報の提供や応援メッセージの発信・呼びかけなどを進める。
 さらに、SNSにとどまらない効果的な応援の手法を模索。現段階では、佐々木投手のほかに市にゆかりがあるアスリートの情報が乏しいことから、市体育協会や市民からの情報を収集しながら応援対象者を発掘していく。
 大リーグで活躍する大谷翔平選手の出身地である奥州市の例も参考にしながら、応援体制に企業や一般市民を取り込み、誰もが参画できるサポーター制度の検討も進める。これらがおおむね整理できた段階で本設組織を立ち上げる方針。時期は8月中を目指すことも確認した。
 協議では、今月行われたロッテ所属選手による地元自治体名産品との「コラボ」の取り組みも話題に。委員からは「市民から、さまざまな競技で活躍しているアスリートの情報がどんどん寄せられるように」といった声も寄せられた。