8月からテスト運行開始 米崎町の上浜田地区 コミュニティ・カーシェア

▲ 新たな移動手段確保に向け、8月からコミュニティ・カーシェアリングのテスト運行を開始する(写真は今年1月の乗り合い運行の様子)

 陸前高田市米崎町上浜田地区で8月から、地域で車を共同利用する「コミュニティ・カーシェアリング」のテスト運行が始まる。同地区は今月まで、住民自らドライバーとなり、高齢者を乗せる乗り合い型車両の運行に独自に取り組んできた。テスト運行は9月末までで、これまで通り週に1度の運行から始め、運行頻度など取り組みを拡充できるか探る。並行してカーシェアリングを本格導入するか検討していく。

 

新たな移動手段確保へ模索

 

 テスト運行に先立ち、同町の上浜田構造改善センターで27日、宮城県石巻市の日本カーシェアリング協会(吉澤武彦代表理事)による説明会があり、地区住民10人余りがカーシェアリングのメリットや先進事例などに理解を深めた。
 コミュニティ・カーシェアリングは、支え合う地域づくりにつながる取り組みとして、宮城県などで導入が進んでいる。▽外出支援▽個人利用▽買い物ツアー──など、自分たちが決めたルールの範囲内であれば気軽に利用でき、活動経費(車両維持費や燃料代など)を利用頻度に応じて分担する。
 使用する車両は5人乗り(運転手含む)1台で、同協会が貸し出す。これまで実施してきた自宅から中心市街地まで1往復する毎週水曜日の運行でスタートする。
 同協会が今後、地区内全戸にチラシを配って周知し、ボランティアドライバーの確保にも努める。本格導入する場合は、利用状況や要望を踏まえて持続可能なルールを決め、運営組織を設立させる。
 上浜田地区は佐野、高木、高畑の3地域合わせて約150世帯で構成。高齢化を背景に車を持たない人や運転免許を返納した高齢者が増え、移動手段の確保を求める声が地域からあがっていた。
 こうした状況を踏まえ、住民有志が「上浜田地区に生活の『足』を作り隊」(大和田功子代表)を発足。1月から今月まで民間の助成制度を活用し、「アッシーくん」の名で7人乗りレンタル車を無料運行してきた。
 月に2、3回、「アッシーくん」を利用していた女性(85)は「大変助かっている。知り合いと顔を合わす機会にもなる。カーシェアリングに切り替わっても、これまでの運行を基本に続いていってほしい」と要望した。
 米崎地区コミュニティ推進協議会の新沼幸男会長(79)は「高齢化が進み、交通手段の確保は重要な取り組み。将来的には米崎地区全体で考えないといけない課題だ」と話した。