「第3弾」配布は9日から 今回も全世帯に1万円分のふるさと振興券 ワクチン接種支援の意味合いも

▲ 振興券の見本と、加盟店を示すステッカー

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う大船渡市の独自経済対策で、市内全世帯に簡易書留郵便で「ふるさと振興券」1万円分を配る事業が、9日(月)から始まる。地域消費喚起促進を狙った昨年秋、今年春に続く第3弾の取り組みで、市内の小規模店を中心に430店舗で対応。買い物だけでなくワクチン接種会場までのタクシー移動など、幅広い利用による地域経済底上げが期待される。

 ふるさと振興券事業は、昨年9月、今年4月に続く実施となる。新型ウイルスの影響で苦しむ飲食店や小売業、サービス業の売り上げ確保に向けた消費喚起が目的。今回も、大船渡商工会議所に事業運営を委託している。
 振興券の配布対象は、市内全世帯で約1万5000世帯。7月1日現在で住民登録がある世帯主らに送付し、外国人を含む。各世帯には、商品券500円券の20枚つづりが届く。今回も簡易書留による郵送で、今月9日から順次進められるが、2週間程度かかる場合もあるという。
 加盟店は、飲食店や小売店、サービス業の430店舗で、前回とほぼ同じ。飲食店や理・美容業、コンビニエンスストア、ガソリンスタンドなど、幅広い業種で活用できる。事業者が換金する際の手数料は無料となっている。
 市内のタクシー利用も可能。今回、市ではワクチン接種時にかかる移動費支援としても位置づけている。
 前回と同様に、スーパーやドラッグストア、ホームセンターなど、店舗面積が500平方㍍を超える大型店は対象外。簡易書留郵送では商品券とともに、取り扱い加盟店の一覧も同封する。利用期限は11月30日(火)としている。
 同商議所によると、第2弾分のうち、7月15日までの換金実績は1億1746万円。加盟事業所のうち、71%から換金申請があったという。同商議所が発行する地域共通商品券は、約7割が大型店に集中する傾向があるという。
 振興券は食料品・酒・菓子・コンビニエンスストアの一般小売店で30%、飲食店・弁当・仕出しで19%と、合わせてほぼ半分を占める。地域商品券では10%程度といい、振興券独自の〝消費〟が数字にも表れている。
 同商議所の米谷春夫会頭は「比較的小規模店で使われていることが大きく、恩恵が出ていると感じている。経営者から喜びの声が、商工会議所にも届いている」ととらえる。
 第3弾の振興券事業について、戸田公明市長は「市内での飲食や買い物のほか、タクシー利用など一人一人が日常生活の一助として活用することが、市内経済を支える大きな力になる。いまだに新型ウイルスの影響収束は見通せないが、一人一人が互いを守りあう心がけが感染拡大防止につながる」としている。
 市は合わせて、宿泊観光回復事業「大船渡に泊まってHappy!大作戦Part2」を進めており、市内の17宿泊施設を利用する県内居住(市民も含む)の観光客に対し、宿泊料金のうち4000円を割り引き、市内飲食店や商店で使える1000円分のクーポン券を配布。振興券と同じ430店舗で利用できる。