主要施策の方針述べる 町議会臨時会 神田町長が所信表明

▲ 所信表明演述を行う神田町長

 住田町議会は10日、臨時会を開き、町長選挙で再選し2期目に入った神田謙一町長が所信表明した。神田町長は2年目を迎えた町総合計画に基づいて各種施策を推進していくとし、「医・福・住」の充実や産業振興、新型コロナウイルスへの対策など町政執行の基本的な考えを述べた。
 臨時会には全12議員が出席。神田町長は冒頭、「町長選挙において、町民の皆さまの変わらぬご支援と議員の皆さまのご支援をいただき、2期目の町政を担うこととなった。その責務の重大さに、引き続き身を引き締め、初心に立ち返って町政執行にあたっていく」と自らの思いを語った。
 町政運営方針のうち、「新型コロナウイルス感染症対策」では、全国的にいまだ収束の兆しが見えない状況にあることから、感染防止対策のさらなる徹底を図るために正確な情報提供と基本的な感染対策および慎重な行動の実践継続を呼びかけていくとした。
 「食産業の推進」では、生産量が減少している産物について近隣消費地での認知度向上を推進し、地域内経済好循環による食産業支援に取り組む姿勢を掲げた。
 「住まい環境の改善」では、「町内への定住や町外からの移住に最低限必要となるのが住まい」とし、快適で、安心して住み続けられるよう、住まい環境の改善を促進していく。加えて、町内には不動産業者がいないために情報の入手が困難で、人口減少による空き家の増加が懸念されることから、空き家バンクへの登録と活用を推進していく方針も示した。
 林業振興に関しては、令和元年度から森林環境譲与税が創設され、森林整備、担い手対策、木材利用・普及啓発等に充てる財源が確保されたとし、長期的な視点での森林整備、木材生産の促進に努めながら、持続可能な森林づくりに取り組んでいく考えとした。
 このほか、人口対策、生活環境対策、所得対策の各方向性も演述。最後に、「財政は厳しい状況だが、次世代にツケを残すことなくつないでいく責務がある。将来の子どもたちのために、次世代のためにこのまちをつくっていく」と述べ、議員らに理解と協力を求めた。

 

一般会計補正予算案は反対多数で否決

一般会計補正予算案を否決

 

 同日当局が提出した令和3年度一般会計補正予算案は、反対多数で否決された。
 補正予算案は、歳入歳出にそれぞれ1311万4000円を追加し、総額を50億1019万円とするもの。
 歳出のうち、世田米商店街沿いに構え、「住民交流拠点施設・まち家世田米駅」として活用されている国登録有形文化財・旧菅野家内の土蔵修繕にかかる耐震診断等状態確認、その後の活用方法検討に向けた「公開活用調査設計業務委託料」(734万円)について複数の議員が質問。
 「図書室や子育て支援の施設など、町民が望む施設はたくさんある。活用用途が明確ではない中で修繕しようとしている蔵が、町民が利用していくのに望ましい施設なのか疑問。予算書に上げる前に、議会への説明をしながら議論すべきではなかったか」「果たして734万円もかかるものなのか。高いとは思わないのか」との声が上がった。
 当局側では「調査をし、全体的に必要な整備の内容、耐震補強を明らかにしたうえ、使い方については調査結果を踏まえて議員の皆さまと協議しながら進めていきたい」「(委託料は)国交省の委託積算基準に基づいたもの」などと説明。
 審議では、佐々木春一議員(日本共産党)が「蔵の補修に関わる予算については、住民や議員に説明し、中心街の蔵の活用と合わせた総合的な計画を示したうえで再度出直してもらうべき」と反対討論。
 採決の結果、反対6、賛成5で否決となった。臨時会終了後、反対した議員の一人は「町民や議員にまち家を含めた蔵の利活用方針について示してもらわねば承認できない」と語った。
 神田町長は「丁寧に説明して理解を得たい」と再提案する考えを示した。