移住促進へパンフ作成 「暮らし」のあれこれ紹介 高田暮舎
令和3年8月12日付 7面
陸前高田市のNPO法人・高田暮舎(くらししゃ)は、同市への移住希望者や移住者向けのパンフレット「高田暮らしの手引き」を作成した。同市での暮らしをより具体的にイメージしてもらおうと、仕事や住居、買い物、子育てなど生活に関する基本情報に加え、自治会費や香典の金額の目安など移住者の視点を取り入れた独自の情報も盛り込んだ。移住の不安を解消し、地域にスムーズに溶け込むための手引きとして活用していく。
地域に溶け込む手引きに
「高田暮らしの手引き」は、市からの委託を受けて作成し、500部発行した。A5判フルカラーの32㌻。
陸前高田市の場所、面積、人口、産業、主な交通手段、ライフラインなどのほか、移住・定住で必須となる住まい探しや仕事に関する情報、相談窓口を掲載。子育て情報に関しては▽産前〜就園▽就園〜中学校▽高校──に分け、支援制度も載せた。
地域になじむための近隣へのあいさつ回りの例を写真付きで紹介。各地区の自治会費の目安や地方ならではの葬儀への対応、香典の金額の目安、現在と移住後の支出を家賃、食費、水道光熱費など項目別に比べるページも設けた。
作成は東日本大震災後、同市に移り住んだ法人スタッフが担当。実際に住んで知った地域の情報などを充実させた。
新型コロナウイルス禍に伴う田園回帰志向の高まりを背景に、同市への移住に関する相談件数も増加傾向にある。同法人によると、7月の相談件数は10件と前年の倍ほどに伸び、今月から相談者に対してパンフレットの郵送を始めた。
同法人は平成29年に設立。人口減少、過疎化が進む中、空き家を利活用した移住・定住促進事業に当たっている。暮らし全般に関わる紹介事業や転居後の支援を手掛け、空き家の賃貸・売買、家財・遺品整理、登記手続きなどの住宅に関する多様な悩み事に応じる電話相談窓口も開設している。
同法人移住コンシェルジュの髙橋瞳さん(24)は「移住先を明確に決めずに相談する人もおり、そうした人に一度きりの相談で終わらせず、陸前高田で暮らすイメージをより具体的に持ってもらえるような情報を詰め込んだ。受け入れに力を入れていることや心温かな人が多い地域性をパンフレットを通じて伝えたい」と話す。