住田でも採火式実施 パラリンピック 聖火フェスティバル

▲ 住田町でも採火式を実施。元パラリンピアンの千葉さん㊨も採火を務めた

 東京2020パラリンピック聖火フェスティバル「すみたの火」採火式は14日、住田町役場で開かれた。同町の五葉山火縄銃鉄砲隊が鉄砲を放つ際に使用する火から採火。関係者が、大会の成功と共生社会実現への願いを聖火に込めた。
 パラリンピック開催地・東京都で行われる点火セレモニーでは、全国47都道府県と、大会発祥の地である英国ストーク・マンデビルから集めた火を聖火として使用する。
 本県では各市町村がそれぞれ特色を生かした手法で採火するが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で式典行事の開催を見送った自治体もある。
 同町での採火式では、神田謙一町長、同町在住の元パラリンピアン・千葉忠行さん(68)=上有住、五葉山火縄銃鉄砲隊伝承会が採火を務めた。
 集まった町民約10人を前に、同伝承会のメンバーが、火縄銃を撃つ際に使用する火を神田町長と千葉さんの持つトーチに移し、2人がランタンに聖火をともした。
 神田町長は「国際パラリンピック委員会では『勇気』『強い意志』『インスピレーション』『公平』の四つの価値観を重視している。コロナ禍で開催には賛否さまざまあるが、パラリンピアンの方々には、コロナを吹き飛ばすいきおいで力を発揮し、希望を与えてくれるような大会になれば」とあいさつ。
 上有住から訪れた佐藤宏子さん(76)は「貴重な機会なので、見に来てよかった。(パラリンピックは)見るだけで元気になる。選手の皆さんには頑張ってほしい」と話していた。
 この日、採火を務めた千葉さんは、昭和59年に米ニューヨークで行われたパラリンピックに出場した経験を持つ。住田高校卒業後、神奈川県の自動車部品メーカーに就職。入社して7カ月目にプレス機械で誤まって左手首を切断。52年に帰郷・就職し、障害を克服して大会に出場。水泳や円盤投げ、やり投げ、ローンボールの各種目で好記録を残した。
 パラリンピックは新型ウイルス感染防止のために首都圏会場は無観客の方向だが、「本来であれば選手たちの、体だけでなく心の限界を超えた姿を目に焼き付けてほしかった」と悔しさをのぞかせたが、「障害を障害と思わずに活躍するアスリートを見ればきっと感動するはず。各市町村から集まった火が大きな炎となり、大会を盛り上げてくれれば」と聖火に願いを託した。
 集火・出立式は16日(月)、盛岡市のイオンモール盛岡で開催。各地の思いが込められた火を一つにまとめ、東京へと旅立つ。聖火リレーは17日(火)から静岡、千葉、埼玉、東京の4都県で行われ、大会は24日(火)に開幕する。