新型コロナウイルス/緊急事態宣言下 初の週末 一部ではにぎわい お盆休みも人影まばら 気仙

▲ 県独自の緊急事態宣言を受けて休館となったおおふなぽーと。悪天候もあって大船渡駅周辺の人影はまばらだった(14日)
市内外の人々が訪れた道の駅「高田松原」(14日)

 県内での新型コロナウイルス感染症拡大を受け、県が12日に出した緊急事態宣言。県民に対して不要不急の外出自粛などを強く呼びかけており、宣言後初の週末となった14日、気仙各地はこのところ続くぐずついた天候も相まって例年に比べて帰省客や観光客の姿が少なく、一部でにぎわいを見せるところもありながらも、ひっそりとしたお盆休みとなっている。

 

 8月に入り、県内ではふた桁台の新規感染者が確認される日が増えるなど、新型ウイルスの感染が拡大している。12日には「直近1週間の人口10万人あたりの新規患者数が15人」という独自緊急宣言発出の指標としていた数字を超え、達増拓也知事が会見して外出の自粛や基本的な感染対策の徹底などを県民に強く呼びかけた。
 解除は直近1週間の新規感染者数が10人未満になるまで。公共施設などの休館やイベント中止も相次ぎ、さらには国による6都府県対象の緊急事態宣言、天候のぐずつきも背景に、気仙各地の人出は従前に比べて少なくなっている。
 大船渡市大船渡町のキャッセン大船渡エリアも、14日は食料品や日用品販売の大型店を除き、人影はまばら。買い物に訪れた末崎町の男性(82)は「県外にいる息子たちとは、昨年からまったく会えていない。少しでも早い収束を願うばかりだ」と話していた。
 同エリアでは16日にお盆に合わせた「キャッセン海灯り(うみあかり)」の開催を予定。新型ウイルス感染拡大を受け、日中に予定していた灯ろうづくりのワークショップなどは見送り、午後5時からのライトアップや読経、灯ろう流しにしぼって実施する。
 主催する海灯り実行委員会の小泉洋代表(50)=大船渡町=は「感染防止策が十分できるものに限りながら、大切な人に思いを寄せ、先祖を慰霊する場となれば」と、開催への思いを語る。来場者の減少を見込んでライブ配信の準備も進めている。
 小泉代表はキャッセン内で「鬼椿市民雑貨店」を経営。「急拡大しているので、県内の緊急事態宣言も致し方ない。昨夏もコロナで戦々恐々としていて人通りは少なかったが、今年は天気も崩れているので、なかなか厳しい」と現状を語る。
 同市三陸町越喜来の道の駅さんりくでは、例年に比べてお盆期間の客足は伸びていない。運営する三陸ふるさと振興㈱によると、毎年開店と同時に飛ぶように売れるホタテも、一昨年までと比べると半分以下にとどまる。悪天候の影響も重なり、例年であれば駐車場や食堂がほぼ満車・満員になる昼食時間帯でも、空きがある。
また、7月の4連休ごろから首都圏など県外ナンバー車の割合が高くなり、駐車場で寝泊まりする姿も見られるという。
 奥州市方面から気仙に入る際の〝玄関口〟となっている住田町世田米の道の駅種山ヶ原ぽらん。例年であれば、盆期間には連日1000人近くの利用があり営業時間も延長していたが、今年は3分の1ほどにまで減少し、平時と同じ時間帯で営業している。
 運営する住田観光開発㈱の松田栄代表取締役は「県の緊急事態宣言の影響というよりも、昨年からのコロナの影響が続いている。基本的な感染対策をしっかりとりながら営業していくしかない」と話す。
 こうした中で、陸前高田市気仙町の道の駅「高田松原」は、市内外から多くの人でにぎわう。運営する㈱高田松原(熊谷正文社長)によると、13日の来店者数は約3000人。改めて感染症対策を徹底しながら対応している。
 14日に盛岡市から訪れた男性(48)は「緊急事態宣言が出たが、正直どこまでを不要不急とするのか分からない。ただ、感染者が増えているのは確かで、今後は外出を控える」と話していた。
 同道の駅がある高田松原津波復興祈念公園は、13日から宣言が解除されるまで利用を休止している。道の駅は営業時間を2時間短縮し、当面の間午前9時〜午後4時としている。
 一方、同市米崎町で「食堂カフェ仙華園」を営む吉田宏さん(57)は緊急事態宣言を受け、本来ならば書き入れ時となる15日の終日休業を決めた。「気仙でも感染者が増えており、率直に怖いと感じている。できる限りのコロナ対策は行っているが、混み合いそうな日は休みにするなど、今後も様子を見ながら営業していく」とし、一日も早い収束を願っている。