㈱國洋が三陸産イサダのサプリ製品化に成功 オイルの健康成分生かし ネット販売などで浸透狙う

▲ 國洋が製品化したサプリメント「桜こあみパウダー」

 大船渡市大船渡町の食品製造業・㈱國洋(濱田浩司社長)は、三陸産イサダのオイル成分を生かしたサプリメントの製品化に成功した。イサダオイルは健康成分を豊富に含有するとされ、昨年から稼働している工場内の遠心分離機などを生かして抽出。今後はネット販売やSNSを通じた戦略で、幅広い世代への浸透を見据えるほか、新たな製品開発も目指す。

 

 イサダはツノナシオキアミの別称で、主に北太平洋の寒海域に生息する動物プランクトンの一種。養殖や遊漁のエサとしても流通し、小エビの代替にも活用される。三陸では2月下旬から3月上旬に解禁され、漁況が良ければ4月末ごろまで漁が続き、桜色にあふれる水揚げ風景は春の風物詩となっている。
 東日本大震災以降、復興につながる新たな需要創出を見据える中で、DHAなどを豊富に含むオイルや抗肥満成分、動物性たんぱく質にも注目が集まっていた。岩手生物工学研究センター(北上市)は以前からイサダ水溶性抽出物の肥満抑制効果を研究し、平成26年には大学機関とともにダイエット効果につながる高い活性の「8―ヒドロキシエイコサペンタエン酸(HEPE)」を特定した。
 28年には行政と大学、國洋の産学官連携で「イサダまるごとプロジェクト」が発足。高付加価値素材として製造、販売することで利用用途拡大や需要を増加させようと、分離技術の開発などを進めてきた。さらに、國洋では昨年、三陸産イサダからオイル成分を抽出・生産する新工場「クリルオイルプラント」の操業を始めた。
 工場内では、国内でも数少ない遠心分離を利用した油の抽出方法を取り入れている。抽出したオイルを他工場で粉末化し、カプセルに入れた状態での製品化に成功した。
 商品名は「桜こあみパウダー」で、1粒300㍉㌘入り。1日3粒程度の服用を推奨する。現在は加工食品の位置づけだが、成分には8─HEPEに加え、EPAやDHAなども豊富に含まれていることから、機能性表示食品としての展開も見据える。
 価格設定やパッケージ表示の微調整を経て、同社製品を出している通販サイト「楽天市場」などでの販売を計画。SNSを通じたアピールなど、これまで同社製品にはなかった販路開拓に加え、将来的には海外進出も視野に入れている。
 開発を担当する同社営業部の濱田育瑛さん(26)は「若い世代でも、睡眠不足や生活リズムの崩れによって体調を崩しがち。健康的な生活を支える商品になれば」と話す。抽出した油分を生かした新たな商品開発にも意欲を見せる。
 製品に関する問い合わせは同社営業部(℡27・1611)へ。