上有住駅でも歓迎 SL銀河が運行開始 町内外から見物客
令和3年8月22日付 8面

JR東日本は21日、釜石線(花巻―釜石間)での「SL銀河」運行を開始した。今年で8年目の運行で、気仙で唯一釜石線の鉄路が通る住田町の上有住駅にも停車。その姿を一目見ようと、関係者や町内外からの見物客らが訪れ、駅の周辺は活気に包まれた。
SL銀河は、宮沢賢治作品「銀河鉄道の夜」をモチーフに改修した機関車と4両編成の旅客車で構成。定員は176人で、平成26年4月にデビューした。以降、全国の鉄道ファンらの人気を集め、観光面からの復興支援と地域活性化に貢献している。
本格運行を前にした7月14日には試運転が行われ、漆黒の車体が黒煙や蒸気をあげながら山間部を駆け抜け、上有住駅にも停車して安全確認が行われた。
今年は、JRグループと東北6県、観光関係団体などが実施する東北デスティネーションキャンペーン(東北DC)にちなみ、初日と翌22日は「SL銀河東北DC結び号」として運行。ヘッドマークを東北DC仕様にあしらった車体が、家族連れや鉄道ファンたちを乗せて各駅を巡った。
今年も釜石線で土・日曜日と祝日を中心に運行。初日は、花巻から釜石に向かう下り便が運行し、停車各駅で住民たちが歓迎した。
このうち、上有住駅のホームでは、町や観光協会の関係者、五葉山火縄銃鉄砲隊、同協会のPRキャラクター・すみっこが出迎えに並んだ。
ホームに加え、駅近くのトンネル、踏切付近にも見物客が駆けつけ、運行開始を祝福。山あいに響く汽笛の音や機関車の勇姿を間近で堪能した。
花巻市から訪れた佐藤倫さん(8)・大地君(2)のきょうだいは、毎日のように本や動画でSLを見ているといい、初のSL銀河見学に目を輝かせた。倫さんは「音がすごかった。今度は乗ってみたい」と声を弾ませていた。
JRによると、初日、22日の指定席は発売日に完売。運行は12月5日(日)までで、同日まで上下線合わせて32本が運行する。
22日に予定されていた各駅のおもてなしイベントは、県独自の緊急事態宣言を受けて一部取りやめ。上有住駅では同日、SUMITAチェーンソーアート杣遊会(そまゆうかい、泉田晴夫会長)の制作したヘッドマークをあしらった作品などが展示される。