今年も〝異例ずくめ〟 気仙の夏決算 コロナ禍と天候不順 影響大きく

▲ 茶屋前岸壁などが指定席となった三陸・大船渡夏まつり

 気仙の夏は今年も、昨年同様に新型コロナウイルスの影響を受け、異例の対応に追われた。2年ぶりに復活したイベントの多くは規模縮小で例年の形には戻らなかったが、感染防止と地域活性化の両立を図った。半面、感染状況を考慮して昨年に続いて開催を見送る動きも目立った。例年よりも梅雨明けが早く、7月下旬から8月上旬は猛暑に見舞われた一方、盆期間中を含む中旬はぐずついた天気が続き、各方面に影響を及ぼした。

 

2年ぶりの夏まつりは規模縮小
大船渡

 

 大船渡市では8月6、7の両日、2年ぶりとなる三陸・大船渡夏まつりが開かれた。海上七夕船の湾内巡航と花火大会のみとし、観覧会場となる同岸壁の入場は有料で県内在住者に限定。実行委によると、約1300人が入場したが、岸壁周辺はゆとりがあり、目立った混雑はなかった。
 盆期間中の16日には、三陸町越喜来の伝統行事「港まつり」が2年ぶりに開催された。大船渡町では同日、3年前から続く「キャッセン海灯り」も。一方、盛町の「灯ろう七夕まつり」と「盛川灯ろう流し」は、2年連続で開催を断念した。
 綾里、越喜来浪板、吉浜の各海水浴場は今夏も、海開きを見送った。綾里と越喜来浪板は感染状況を踏まえ、吉浜では海中環境が改善せず、安全確保が難しい現状も考慮した。
 市の宿泊観光回復事業「大船渡に泊まってHappy!大作戦Part2」は先月21日以降、約4700件の予約・申し込みがあり、7月中の宿泊利用は約1500件。県が今月12日に発令した独自の緊急事態宣言に伴い、現在は新規予約・利用を停止している。
 赤崎町のフレアイランド尾崎岬では、同事業の効果もあり、昨年を上回る宿泊利用に。緊急事態宣言を受け、バーベキュー利用は家族に限定するといった対策も講じた。
 末崎町の碁石海岸キャンプ場では、先月17日~今月16日に143件、541人が利用。7月下旬の4連休は予約で埋まったが、キャンセルは同日までに約80件に達し、盆期間を中心とした悪天候に泣かされた形となった。
 三陸町越喜来の道の駅さんりくでは、天候不良やカレンダー上の日並びの影響も重なり、お盆シーズンの売り上げは一昨年までの半分以下にとどまった。
 緊急事態宣言の発令翌日から、客足が激減。同じコロナ禍だった昨夏よりも苦しんだ。土産品や看板商品のホタテの発送も伸びず、「人が入っても物が売れない」状況が続いたという。

 

高田松原海水浴場が11年ぶり開設
陸前高田

 

7月17日~8月12日に海開きした高田松原海水浴場

 陸前高田市では、今年も夏を盛り上げる主要行事の多くが中止となった。一方で、東日本大震災で被災した高田松原の砂浜再生工事が完了し、11年ぶりに海開きが行われ、海水浴客の歓声が戻った。
 毎年8月7日に開かれている高田町のうごく七夕、気仙町今泉地区のけんか七夕は2年連続で中止。チャオチャオ陸前高田道中おどりや矢作町下矢作地区の下矢作灯篭七夕も、昨年に続いて開催が見送られた。
 高田松原海水浴場は7月17日~今月12日のうち、計19日間開設。運営した市観光物産協会によると、来場者数は約1万3500人だった。広田町の大野海岸はコロナ禍の影響で監視体制が整わないなどの理由で海開きを見合わせた。
 気仙町の道の駅「高田松原」は、県独自の緊急事態宣言発令を受け、今月13日から営業時間を2時間短縮。運営する㈱高田松原によると、同日から16日までの来店者数は計約1万1400人だった。
 高田町のアバッセたかたは12~16日までお盆セールを実施。セール期間を含む8~16日の売り上げは前年同期よりも約15%減で、コロナ流行前の一昨年と比べると約40%減と苦境にあえいだ。
 アバッセ事務局は「昨年よりも厳しく、数字で見ても影響を受けたのが分かる。飲食業だけでなく、幅広い業種で打撃を受けている。なんとか耐え忍ぶしかない」とコロナ収束を切実に願う。
 同道の駅が入る高田松原津波復興祈念公園は13日から同宣言解除までの間、臨時閉園している。市内の多くの公共施設でも一部で臨時閉館しているほか、市民や市内への通勤・通学者のみ利用可能とするなど感染症防止策を強化している。

 

滝観洞・ぽらんともに入込数減
住田

 

 例年夏場に書き入れ時を迎え、行楽客らでにぎわいを見せる上有住の滝観洞。観光センターの運

悪天候や緊急事態宣言の影響で利用者が減少したぽらん

営などを担う住田観光開発㈱によると、8月前半は天候にも恵まれて昨年を上回る来場があった。連日の降雨と12日に発令された県独自の緊急事態宣言が重なり、盆期間中の入り込みは連日100人程度で、期間中の入り込み数はコロナ禍前の半分以下、昨年を353人下回る1261人にとどまった。
 同じく同社が運営し、国道397号沿いに構える道の駅・種山ヶ原ぽらんでは、8月中旬から盆期間にかけての悪天候、新型ウイルスの感染拡大に伴う移動の自粛が響き、首都圏からのマイカーでの来客や水沢江刺駅を利用する新幹線の送迎客が大幅に減少したこともあって、道の駅利用者は前年を2割程度下回る4200人だった。