震災の記録 残したい 高田第一中3年生 仮設住民との交流など調べる
令和3年8月25日付 7面
陸前高田市立高田第一中学校(熊谷広克校長、生徒212人)の3年生は、東日本大震災後に古里がたどった復興への歩みについて調べ、記録としてまとめる取り組みを行っている。24日は、震災後同校の校庭にあった仮設住宅の元住民にインタビューを行い、仮設の入居女性らでつくった踊りのグループ「BAPPA(バッパ)ダンサーズ」と生徒との交流のことなどについて話を聞いた。
同校の3年生80人は現在、防災や記憶伝承などの視点で地域の未来を考える総合的な学習を展開。16人からなる「トレジャー・コネクト」は、震災後の地元の復興について情報収集。2年前、現3年生が1年生だったときに交流した元仮設住民らにフォーカスを当て、当時の記憶を未来に伝承する取り組みに臨んでいる。
バッパダンサーズは、震災後の同校校庭に仮設住宅が立ち並んでいた時期に、女優の大場久美子さんと住民との交流がきっかけで生まれたグループ。震災の風化防止や被災地からの元気発信を目的に、大場さんが作詞した楽曲『~世界中の誰かのために~』に合わせて踊った様子を動画に収めて公開した過去もある。
24日は、高田町に住む元仮設住民の50代女性を同校に招いて生徒4人がインタビュー。代表の菅野温大君(3年)は、「高田の元気の象徴」と呼ばれることもあったバッパダンサーズの成り立ちや、旧仮設集会所での生徒と住民の交流風景、未来に伝え残したいことなどについて質問した。
女性は、震災直後からこれまでを振り返りつつ、「みんな、失ったものがあったけれど、思い出も増えた」「ここで起きたこと、感じたことを忘れず、中学生のみなさんにも伝えていってもらいたい」と思いを語った。
菅野君は「2年前に一緒に踊り、優しく接していただいた住民のみなさんのことが今でも印象に残っている。震災の実情について新たに知ったこともあったので、自分たちよりも若い世代にも伝えていきたい」と決意を新たにした様子だった。
生徒らは今後、調べたことを年度内にまとめ、絵本や紙芝居、プレゼンテーションなどの形式で記録を残したい考え。11月には、地元小学校で学習したことを児童らに伝承する活動も予定している。