災害時の対応 万全に 市が全庁挙げて訓練実施 コロナ禍の避難所運営も確認

▲ コロナ禍に対応した避難所運営の訓練も展開

 陸前高田市は25日、高田町の市消防防災センターなどで災害応急対策訓練を行った。全庁を挙げての同訓練は、一昨年度に続いて2回目。今回は同市への台風上陸を想定し、上陸前後の対応を時系列で確認した。全国各地で自然災害が頻発し、新型コロナウイルス禍で避難所開設時の感染症対策も求められている。職員は東日本大震災の教訓を胸に緊張感を持って臨み、いつ発生するか分からない有事への備えとした。

 

2年ぶり2回目

 

 事前訓練を含め、全職員約220人が参加。26日午前0時に同市に大型で非常に強い台風が上陸すると想定し、上陸12時間前から上陸18時間後までの流れを確認した。
 このうち、公開した訓練は▽災害対策本部会議▽各避難所との通信訓練▽避難所運営の流れの確認▽各課の災害対応訓練──。
 上陸に備えた1回目の災害対策本部会議は消防防災センターであり、幹部職員約30人が参集。本県沿岸南部の予想雨量は350〜400㍉で、経験したことのない大雨、強風に襲われるとの想定で、各課による対応状況を報告した。本部長の戸羽太市長は「職員一人残らず今何をすべきか共有し、即座に対応できるよう準備を」と指示を出した。
 避難所は市内11カ所に開設し、対策本部は無線を使って1時間ごとの避難者数を確認。各避難所では、職員が新型ウイルス感染症に対応した運営訓練を行った。
 高田地区本部を置く市コミュニティホールでは、受付や誘導係の職員6人が使い捨てガウンとフェースシールドを身につけて流れを確かめた。発熱者に対しては検査キットを使って抗原検査を行い、別室に設置したテントに誘導した。
 同市は、震災の津波で職員が犠牲となり、市庁舎全壊の被害を受け、行政機能に大きな支障が生じた。この経験を踏まえ、平成29年7月、地震、津波発生時の優先業務などをまとめた同市業務継続計画(BCP)を策定した。
 一昨年度の訓練は、同計画や同市地域防災計画に基づいて対応能力の強化を図ろうと実施。昨年度は新型ウイルス感染防止のため見送った。
 台風襲来に備えた訓練は今回が初めて。市は訓練で浮き彫りとなった各課の課題と対策を再検討し、今後、風水害版のBCP策定を目指す。
 戸羽市長は「災害時は各課で迅速な対応が必要。職員一人一人が最悪の事態を想定し、どうすべきか想像力を働かせながら訓練に臨んでほしい。市民の命を守るため、地震、津波だけではなく、さまざまなパターンの訓練を考えていく」と話した。