疫病退散の願い込め 商品名に「ガガニコ」 三陸ブルーイング・カンパニーがノンアル飲料発売

▲ 新商品のガガニコジンジャーエール

 大船渡市大船渡町に本社を置き、クラフトビールの開発・販売などを手がける「三陸ブルーイング・カンパニー合同会社」(南忠佑代表)は、陸前高田市の「北限のゆず」などを原料に使用したノンアルコール飲料「ガガニコジンジャーエール」を発売した。気仙地方で〝ガガニコ〟と称される権現様から名付けた商品に、新型コロナウイルスの早期収束など疫病退散の願いを込めた。

 

 趣味で醸造所に通って勉強を重ねていた南代表。妻・佳代子さんが大船渡町出身という縁で頻繁に気仙に通う中、ビールの副原料として魅力的なものが数多くあることに気づき、平成30年に同社を設立。特定の醸造所を持たず、全国各地に委託醸造しながら三陸の素材を使ったビールの製造を行っている。
 同社が開発している三陸ビールは、一昨年までは首都圏等でのイベント販売が中心だったが、昨年から新型ウイルスが流行して催しの中止が相次いだため「これまでのやり方では生き残っていけない」と、気仙地区内の道の駅や飲食店、都内のアンテナショップ、自社のオンラインショップなどでも幅広く販売を開始。ノンアルコール飲料であるガガニコジンジャーエールは、イベントで「ビール以外も販売してほしい」という声があったほか、首都圏でも酒類の自粛によって需要が低迷していることから開発した。
 ショウガをふんだんに使用し、「北限のゆず」のほか、ハチミツ、カルダモン、シナモン、クローブなど7種のスパイスを配合。ショウガのフレーバーのあとにスパイシーさとユズの爽やかさを楽しむことができる。
 原料の加工は、陸前高田市の就労継続支援B型事業所・あすなろホームに委託。加工したものを飲料メーカーに持ち込んで商品にしている。
 気仙で「ガガニコ」と呼ばれる権現様は、正月や神社の祭礼などで各家を回り家内安全や疫病退散を祈祷する。南代表(44)は「コロナが落ち着いて、またみんなで、気兼ねなく乾杯できる日が来れば」と話す。
 ガガニコジンジャーエールは内容量250㍉㍑で、希望小売価格500円(税別)。同社のホームページ(https://www.sanrikubeer.com/)のほか、陸前高田市の道の駅高田松原、大船渡市の大船渡温泉や㈱スリーピークスで購入できる。


JR盛岡と連携でビール販売

 

 JR東日本盛岡支社は、県内11のクラフトビール事業者と連携し、県産ホップを使用したクラフトビールを販売する共同企画「IWATE BEER」を展開している。この一環として、遠野産ホップ「IBUKI」を使って「三陸ブルーイング・カンパニー合同会社」の商品「週末のうみねこ」(IBUKIバージョン)を販売した。
 「週末のうみねこ」は、ベルギー発祥でフルーティーな香りと清涼感のある味わいが特徴の「ベルジャンホワイト」をベースとし、大船渡や陸前高田で採取したツバキを副原料として使用している。
 IBUKIバージョンは、通常の商品と比べてホップの苦みの効いたものに仕上がっている。内容量は330㍉㍑で、希望小売価格は700円(税込み)。
 県内では、盛岡市の盛岡駅ビルフェザン内にある「リカーコート プロースト」、「岩手の酒屋 KiKiZAKEYA」で販売。このほか、JRのECサイト「JRE MALL」では9月上旬から販売を開始する予定。