水産加工の魚種追加を支援、市が新たに補助制度創設 商品開発・試作へ最大100万円
令和3年8月28日付 1面
相次ぐ主力魚種の不漁による原材料不足などが懸念される中、大船渡市は水産加工原魚の追加・転換を支援する新たな補助金を設けた。商品開発や試作に必要な製造機械の導入、セミナー開催などに関する経費の一部に対し、最大100万円を補助する。地元水産加工業の経営安定化や、新たな特産品開発による販路開拓などへの波及を見据える。申請は、9月21日(火)まで受け付ける。
9月21日まで受け付け
この事業は、水産加工業者が不漁などによる原材料不足対策として、新たに加工原魚の魚種を追加したり、利用実績がない部位を使った新商品開発を行う場合に、必要な経費の一部に対して補助金を交付するもの。漁業資源環境の影響を受ける水産加工業の経営安定化などを見据える。
市内に本社や工場を置き、水産物を原料とする食料品製造業を営む個人や法人が対象。個人や事業所で構成する水産加工業の共同組合や事業協同組合も含む。これまで水産物を原料とする商品の製造・流通・加工の実績があり、市税滞納がないことが条件。補助率は4分の3以内で、上限は100万円とする。
対象となる経費は▽原材料費や外注加工費、検査分析費、専門家謝金、機械装置の購入・リース、旅費など加工品の試作開発に要するもの(HACCPなどの認定に必要な経費は除く)▽調査研究費、委託費、市場調査費など市場評価の実施▽講師謝金や印刷費、魚種転換に関するセミナー開催──など。
人件費や事務費、食費、用地購入費、ホームページの維持管理費などは対象外。同じ事業内容で市が実施する他の補助金交付を受けている場合は申請できないが、国や県から助成が出ている場合は対象経費を除いた事業費をもとに申請できる。
補助金交付は1年度あたり1回、2カ年が限度。本年度の事業実施期間は来年3月28日(月)までとする。申請、問い合わせは市農林水産部水産課漁政係(℡27・3111内線372)で受け付ける。
大船渡をはじめ三陸沿岸は、豊かな水産資源とリアス式海岸の地形を生かして、古くから漁業が営まれてきた。しかし、近年は海洋環境や漁場変化に加え、周辺海域における外国漁船操業の活発化などもあり、漁業資源は減少傾向にある。
特に、東日本大震災以降、サケやサンマ、スルメイカなどの漁獲量が減少。市魚市場における昨年度の実績をみると、サンマは10年前の平成23年度との比較で3分の1、秋サケは8分の1、スルメイカは5分の1に低下。数量減に伴い、平均単価も1・7倍〜4・4倍に上昇し、加工原魚としての確保に厳しさが増している。
ホタテガイやカキ、ホヤなどの養殖漁業も、貝毒発生による出荷自主規制の長期化に加え、原発事故を理由とした輸出規制が続く。昨年12月に改正漁業法が施行され、水産資源の適切管理や水産業の成長産業化を柱とする施策への対応も求められている。
主力魚種不漁の一方で、サバやブリは安定し、マイワシの水揚量は増加傾向にある。また、市は昨年、新規養殖研究会を設置。漁業者の所得向上や加工原材料確保などを見据え、市の実情に合った新たな養殖の可能性を検討する動きも出ている。
市農林水産部の鈴木満広部長は「水揚げされる魚種の状況が変化する中、一つだけでなく、対応できる種類を増やしていくことが必要と考える。加工原魚を追加するための足がかりとなれば。前浜で取れたものをうまく活用し、新たな商品開発や地域ブランドの強化にもつながってほしい」と期待を込める。






