秋の味覚到来 サンマ初水揚げ 昨年大幅に上回る36㌧ 市魚市場(別写真、動画あり)

▲ 今年初めて行われた地元大型船によるサンマの水揚げ

 大船渡市魚市場に28日朝、本州トップを切って秋の味覚・サンマが初水揚げされた。鎌田水産㈱(鎌田仁社長)所有の「第十八 三笠丸」(三浦博幸漁労長、199㌧)と「第二十一 三笠丸」(畠山英樹漁労長、同)の2隻で、数量は計36㌧。昨年の4㌧を大幅に上回り、平成26年の新施設稼働以降では2番目に多かった。岸壁では多くの水産関係者がサンマを囲み、活気に包まれた。

 

地元大型船2隻が入港

 

 両船は午前6時すぎに接岸。三浦漁労長(65)らによると、解禁翌日の今月21日夜から公海で操業を続け、24日夜から25日未明までで7㌧ほどだったという。その後、水揚げを見据えて西寄りに進路をとった中、同日夜からの操業でまとまった漁獲があった。
 大船渡から東北東へ約1000㌔離れた漁場から戻り、今年も本州トップとなる8月中の初水揚げを果たした。三浦漁労長は「魚影は薄く、サンマの動きも悪い。たまたま当たったという感じだった。厳しい漁況ではあるが、活気づいてほしい。せっかく持ってきたサンマなので、おいしく食べてもらえれば」と語った。
 4㌔入り、8㌔入りの発泡スチロール箱を岸壁に上げたあと、網ですくい出されたサンマがタンクに移された。買い受け人たちはタンクや発泡スチロールを囲み、じっくりと品定めした。100㌘~120㌘の中小型が多かった。
 入札の結果、箱入りは1万円~1200円で取引され、1㌔換算では2500円~150円。魚市場としてもかつてない価格となった昨年の3250円~1500円に比べれば、落ち着いた値動きとなった。タンク入りのバラは1㌔700円~556円で、昨年の3分の1程度となった。
 早速、市内の鮮魚店などでは〝大船渡産〟がお目見え。産直施設では「初さんま焼き定食」も出始めたほか、赤崎町・下蛸ノ浦漁港では29日に予約制によるドライブスルー販売が予定されている。
 鎌田水産所有の大型船6隻は、今月17日に大船渡港を出港し、遠く離れた公海を中心とした操業が続く。鎌田社長(48)は「昨年よりは、大船渡から近い場所で漁獲ができた。9月の中旬くらいから順調な水揚げが続いてほしい」と期待を込める。
 大船渡魚市場㈱の千葉隆美社長は「今年も地元船によって8月中の初水揚げがあり、サンマの顔を見ることができ、船主さんや船頭さんへの感謝しかない。厳しい予測をくつがえし、業界全体で満足に仕事が回るぐらいの量になることを願うばかり」と話す。
 水産業界にとどまらず、運輸や小売りなど幅広い分野に経済効果が波及するサンマ漁。全国さんま棒受網漁業協同組合によると、昨年の全国の総水揚げ数量は前年比27%減の2万9566㌧で、金額は同11%増の142億207万円。1㌔当たりの単価は480円で、前年同期の約1・5倍となった。
 大船渡の水揚げ数量は、同3%減の6238㌧と健闘。金額は同40%増の28億1934万円と大きく伸ばした。数量・金額ともに本州一の座を維持し、初めて全国水揚げ量の20%超、本州水揚げ量の35%を占めた。一方、2年連続で1万㌧を大きく割り込んでおり、今季はどこまで数量が伸びるかが注目される。