住田の〝いいもの〟発信へ 特産品や農産物など販売 世田米に「イーガストすみた」 プ レオープン

▲ 29日にプレオープンしたイーガストすみた

 住田町の㈲ありす畜産(水野雄幸代表取締役)が同町世田米赤畑地内の国道107号沿いに整備を進めていた特産品販売センター「イーガストすみた」が、29日にプレオープンした。町内の特産品や農産物などを販売する施設で、同日は多くの町民らが来場してさまざまな町産品を購入。今後は新たな商品の開発・販売も視野に入れており、地場産品の〝発信拠点〟として町内外に地域の自慢の品をPRしていく。

 プレオープン初日は午前10時の開店前から50人余が列をなし、開店後も続々と買い物客が訪れた。
 新型コロナウイルスの感染予防のため、入り口での検温や消毒、密集を避けるために店内への入場者を30人ずつに絞るなど対策を徹底しながら対応。最前列に並んだ大船渡市在住の80代女性は「きょうは、大船渡で売っていないありすポークを買いに来ました。国道沿いにこうしたお店があるのは便利でいいと思う」と話していた。
 特産品販売センターは、町観光協会が平成28年度、29年度にかけて開催した「観光プラットフォーム」の中で整備の機運が高まった。
 同プラットフォームでは、町内の団体や企業、住民らによるワークショップで「交通量の多い世田米の国道107号沿いに、住田の魅力や情報のワンストップ拠点となるような場が必要」との意見がまとまった。
 30年度からは、プラットフォーム参加メンバーの中からコアメンバーを選出し、月に1回程度、町と検討を進めてきた。
 同年度から令和2年度にかけて、構想を絞り込んで事業計画などを検討する中で、町から「ノウハウのある民間主導で進めてみてはどうか」との助言があったほか、メンバー内では「行政主導では進みが遅く制約も多い。まずは民間主導で実践を」との考えでまとまり、コアメンバーの一員だった㈲ありす畜産が、JAおおふなとから旧ふれあいセンター施設を取得して改装を進めてきた。
 その後、コアメンバーのうち数人で施設コンセプトや店名、店内レイアウトなどを検討。「町の物産を、町民の手の届きやすいところにそろえて販売したい」「住田の農家・生産者を守りたい」「地域ビジネスマンを育てる場に」「安全安心な食材で地域の健康を支えたい」といった経営コンセプトも定め、施設名は、気仙弁で「いいじゃないの」を意味する「いいがすと」から命名。住田やその関係地域の〝いいもの〟を集めて販売することで、多くの人から「いいね」を獲得したいという思いを込めた。
 イーガストすみたでは、ありす畜産の精肉や豚肉加工品、総菜に加え、鶏ハラミなどの町特産品、町内・周辺地域の農産物、町内事業所の菓子類、県内の土産品などを販売。施設内には観光情報コーナーやベビーケアコーナー、貸事務所や貸し会議室も設けており、貸事務所はイーガストに関わる起業者らに貸し出すなど、地域における起業支援も構想に盛り込んだ。
 住田観光開発㈱や町内の直売組合、町観光協会、菓子店など計8事業所が参画しており、各種特産品、農産物、観光情報などを提供。今後は町内酪農家との連携も見据える。
 水野代表取締役(70)は「ようやくここまで来た。コロナ禍でオープンするのはどうかと悩んだが、基本的な感染対策を徹底しながらやっていく」と待望の開店を喜び、「この場所から、住田のいいものを町内外に発信していければ。生産者と一緒になりながら、前に進んでいきたい」と意気込む。
 営業時間は午前10時から午後7時。定休日はまだ未定だが、プレオープン後1カ月間は無休とする。
 問い合わせはイーガスト(℡47・5666)まで。