森づくりやSDGs推進へ アプリ活用で応援を LM社のプロジェクト

▲ 手入れされたスギ林(住田町有林)

 共通ポイントサービス「Ponta(ポンタ)」を運営する㈱ロイヤリティマーケティング(本社東京都、長谷川剛社長、以下LM社)は、自社リリースのアプリを活用した「森づくり応援プロジェクト」を全国各地で展開している。森林保全団体「一般社団法人モア・トゥリーズ」と協力して取り組んでおり、アプリ内で行うSDGs(持続可能な開発目標)に関するアクションの達成度合いに応じて同社が「カーボンクレジット」を購入するもの。9月には住田町を対象に同プロジェクトが始まっており、同社や町関係者は地域の森林づくりやSDGsの推進へと期待をかける。

 

9月は住田町を対象に展開

 

 LM社では、国連が掲げるSDGs達成に向けた活動として、「グリーンポンタプロジェクト」を展開。同プロジェクトの一環として、今年4月に自社のiPhone用スマートフォンアプリ「グリーンポンタアクション」をリリースした。
 同アプリは、「環境に優しい商品の購入」「徒歩での移動」「アクションの宣言」など、環境や社会に優しい行動をとることでスコアがたまり、一定のスコアに到達することでさまざまな特典を受け取ることができるもの。
 同社ではこのアプリを活用し、「森づくり応援プロジェクト」を4月から開始。アプリ内でアクションを「宣言」した人数が前日より多いと目標達成となり、達成1日ごとに5㌧のカーボン・オフセット・クレジットを購入。さらに20日間、30日間達成でそれぞれ25㌧を購入することとしており、最大で約200㌧分のクレジットを購入する。住田町を対象としたプロジェクトは、今月30日(木)まで。
 「カーボン・オフセット・クレジット」は、省エネ機器の導入や森林経営などによって生まれる温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット」として認証し、ほかの企業などとの間で売買できる形態にしたもの。温室効果ガスの排出量の取引の一種で、近年は国内外で注目を集めている。
 LM社では、オフセット・クレジットを保有し、かつ一般社団法人モア・トゥリーズを通じて各企業・団体が整備・支援した森林「モア・トゥリーズの森」が所在する自治体を対象にプロジェクトを展開しており、住田町を含めこれまで六つの地域で実施。
 同法人は、音楽家・坂本龍一氏が代表を務める森林保全団体。平成23年の東日本大震災発生後、住田町では独自に木造仮設住宅を建設しており、この取り組みに対してモア・トゥリーズの展開するプロジェクトから支援を受けたことでつながりが生まれ、以降は森林・林業を通じてさまざまな形で連携している。
 面積の約9割を森林が占めている同町では、人工林と天然林がおよそ半分ずつの割合で存在。町の森林の5割近くはFSC森林認証を取得しており、世界で認められる基準に照らした森林の管理を行っている。
 同町では、町有林において同18年から22年の5年間に取り組んだスギ人工林の間伐によって、25年に国からクレジットが発行された。このクレジットは、環境貢献活動に取り組む企業・団体等に向けて販売しており、クレジットの販売収益は、全額基金として積み立て、森林整備や木質バイオマスの普及、森林環境教育など地域の森林づくりやそのための人材育成に活用する。
 町林政課の山田南美林業振興係長(27)は「森林資源が多く、昔から森づくりに取り組み、カーボン・オフセット・クレジットも保有している住田について知ってもらえる機会になれば」と期待を寄せる。
 LM社新規事業開発部の野地航さん(28)は「SDGsを身近に感じてもらうとともに、岩手の皆さんに、自分たちの地域の森づくりを応援してほしい」と話している。