認証飲食店に独自支援金 コロナ対策で補正予算計上 市議会開会
令和3年9月4日付 1面

大船渡市議会9月定例会は3日開会し、会期を22日(水)までの20日間と決めた。市当局は令和2年度各種会計決算の認定10件、議案23件、諮問4件を提出し、固定資産評価審査委員会委員を含む人事案3件と諮問4件に同意。本年度一般会計補正予算では、新型コロナウイルス支援策として「いわて飲食店安心認証制度」の認証店に対し、10万円の独自補助を行う財源が盛り込まれている。
1店舗に10万円上乗せ
本年度の一般会計補正予算は、歳入歳出にそれぞれ9億8716万円を加え、総額を226億7614万円とするもの。新型ウイルス対策関連の支援事業費などを盛り込んでいる。
デルタ株の影響などで全国で新型ウイルスの感染が再拡大し、県は先月12日に独自の緊急事態宣言を出した。これに伴い、不要不急の自粛要請が広がり、飲食業の売り上げなどへの影響が懸念されている。
支援事業のうち、市飲食店感染防止対策支援金は市単独の新規事業。県の「いわて飲食店安心認証制度」の認証を取得した飲食店に、支援金10万円を支給する。中小企業が営む認証店には県から同額が支給されるが、さらに市が独自で上乗せする。
市ホームページによると、市内では3日現在で88店舗が認証店となった。予算では市内飲食店すべての交付を想定し、160件分を計上している。
飲食店の事業継続や感染防止対策支援だけでなく、市全体に認証が広がり、地域全体としての感染防止体制徹底や消費者の利用促進につなげたい狙いもある。補正予算議決後に手続きを進め、早ければ10月から飲食店への送金を進めたい考え。
新型ウイルス対策関連では、市特産品販売促進事業費補助金300万円や、消防団関連の新型ウイルス対策費約50万円も計上。このほかに、財政調整基金積立金4億円や、自立支援給付事業約2億円も盛り込まれている。
2年度決算のうち、一般会計と六つの特別会計を合わせた決算総額は、歳入404億9313万円(前年度比3・3%増)、歳出382億6995万円(同2・5%増)。歳入から歳出を差し引いた形式収支は22億2317万円の黒字となった。
一般会計決算の歳入は309億5628万円(同16・9%増)で、予算に対する執行率は94・7%。歳出は288億8864万円(同16・3%増)で、執行率は88・4%となった。
歳入から歳出を差し引いた形式収支は20億6763万円、実質収支は9億9757万円の黒字。実質収支から前年度実質収支を差し引いた単年度収支は、2億8207万円の黒字となった。
これに財政調整基金積立金3億5912万円と繰上償還金2828万円を加え、財政調整基金取り崩し額11億4973万円を差し引いた実質単年度収支は、4億8026万円の赤字となっている。
性質別に見ると、歳入は自主財源が119億7789万円(同4・7%増)で全体の38・7%。依存財源は189億7838万円(同26・3%増)で61・3%を占める。
財政構造の状況を見ると、財政力を示す財政力指数は0・46。低いほど良好とされ、財政構造の弾力性を表す経常収支比率は92・9%。いずれも前年度と変わらなかった。
歳入構造の安定性と弾力性を判断する経常一般財源比率は93・9%、一般財源に占める公債費の割合を示す公債費比率は6・7%で、いずれも前年度より比率が低下した。各種会計決算は、決算審査特別委員会(議長を除く全議員で構成、委員長・今野善信議員)に付託された。
提出議案説明では、市過疎地域持続的発展計画の策定や赤崎地区多目的広場設置管理、市立図書館条例の一部改正などが示された。これらは最終日の本会議で審議を行う。
初日に議決されたのは、人事案件3件と諮問4件。人事案件のうち、市固定資産評価審査委員会委員の鈴木信男氏(70)=日頃市町、再任=と金哲朗氏(71)=同・同、市教育委員会委員は清水恵子氏(46)=三陸町越喜来・新任=の任命同意を議決した。
諮問は人権擁護委員の推薦で、全て同意。伊藤聰氏(68)=盛町、菅原圭一氏(66)=大船渡町、細川幹雄氏(74)=末崎町、奥山幸子氏(71)=日頃市町=の4人でいずれも再任となる。
また、請願「さらなる少人数学級の実現に伴う教職員定数改善と義務教育費国庫負担率の引き上げをはかるため2022年度政府予算に係る意見書の提出を求める」(提出者=小國博文県教職員組合リアス支部長)は、教育福祉常任委員会に審議付託された。