ワクチン2回接種50%超に 気仙3市町の12歳以上 先行の高齢者は90%台 8月末時点

 気仙3市町で新型コロナウイルスのワクチンを2回接種した12歳以上の割合が、半数を超えたことが分かった。今年4月から先行的に接種した65歳以上の高齢者は、各市町とも9割に到達。集団接種対象者は拡大している一方、デルタ株による感染者が急増する中で、20~40代からは「打ちたくても予約できない」といった声も聞かれる。各市町では国からのワクチン供給量の動向を見定めながら、希望者の早期接種に向けた調整を急いでいる。

 

若年層拡大へ調整急ぐ


 大船渡市の接種対象者は65歳以上が1万3708人、12~64歳が1万8763人の計3万2471人。2回接種を終えたのは65歳以上が1万2338人で、接種率は90・0%。12~64歳は5899人で、同31・4%。全体は1万8237人、同56・2%となった。
 同市では医療機関による個別接種と、盛町の市民体育館での集団接種で実施。65歳以上の高齢者接種にめどが立った7月中旬以降、個別接種は基礎疾患がある人と64歳以下に対象を広げた。年代を問わず、学校、児童福祉施設、介護保険事業所、警察官等の従事者を優先接種の対象とした。
 6、7月は、1カ月あたり約1万2000回のペースで実施してきたが、国からのワクチン供給量減に伴い、6割程度に落とした。現在も集団接種は40代以下の実施時期が示されないが、職域団体や高校3年生、妊婦らの先行枠を設けるなど、限られた中で優先度も考慮しながら進めている。
 陸前高田市の接種対象者は65歳以上が7351人、12~64歳が9343人の計1万6694人。2回接種済みは65歳以上が6796人で、接種率92・8%。12~64歳が2475人で、同26・4%。全体では9271人で、同55・5%に達する。
 同市では5月下旬以降、高田町の保健福祉総合センターを会場とする集団接種と市内7医療機関による個別接種を実施。先行接種者を除く市民の接種は「65歳以上」から始め、集団接種は今月9日、12歳以上の全年代に対象を拡大して予約を受け付ける。
 個別接種の予約は現在、5医療機関で対応。国からのワクチン供給量減を勘案し、2回の接種完了時期については、11月末をめどとしている。
 住田町の接種対象者は65歳以上が2390人、12~64歳が2440人の計4830人。2回接種済みは65歳以上が2243人で、接種率93・8%。12~64歳が1549人で、同63・5%。全体では3792人で、同78・5%に上る。
 集団接種が中心で、会場は世田米の県立大船渡病院附属住田地域診療センターと社会体育館に確保。クラスター防止で高齢者施設従事者と施設入所者を最優先し、その後は▽65歳以上の高齢者▽65歳未満で基礎疾患のある人▽64歳以下──の順で実施している。
 あらかじめ町側で接種予定日を指定する方式を取り、これまで大きな混乱は生じていない。64歳以下も今月4日までにほとんどが1回目の接種を終え、月内には希望者の大半が2回接種を完了する見込みとなっている。
 7月以降、新型ウイルスはデルタ株の影響などで全国で感染が再拡大し、県は先月12日に独自の緊急事態宣言を出した。気仙でも感染者が増え、先月以降60代以下が大半を占める。不要不急の外出自粛要請が続き、若年層の希望者すべてが2回接種を終えるまでには一定期間が見込まれる中、経済的に苦境に立たされている事業主や労働者らへの支援も急がれている。
 3市町の接種状況は別掲。