12日に『髪長姫』公開へ 民話を題材にした舞台作品 三陸国際芸術祭

▲ 奇跡の一本松ホールで行われた『髪長姫』の収録

国内外の芸能が融合、陸前高田市で映像収録

 

 国際交流基金アジアセンターなど「三陸国際芸術祭」の主催団体は、12日(日)午後1時30分から三陸沿岸に伝わる民話を題材にした舞台作品『髪長姫』をインターネットで配信する。これを前に4、5の両日、三陸沿岸の郷土芸能団体などが参加し、陸前高田市内で舞台映像を収録。主催団体では、国内外各地で代々受け継がれてきた芸能をコラボレーションさせた作品を通し、これまで出会うことのなかった文化芸術の融合と人々の物語を世界に発信する。

 

 同芸術祭は平成26年にスタートして以来、三陸地域に根付く郷土芸能の魅力発信や、現代芸術、国外の芸能文化との交流イベントなどを展開。今年は国際交流基金アジアセンターと、大船渡市のみんなのしるし合同会社を含む民間団体、関係自治体でつくる三陸国際芸術推進委員会(中村一郎委員長)が主催し、7月〜来年3月を期間として催される。
 今回の映像制作は、東京2020大会公式文化プログラム「東京2020NIPPONフェスティバル」の共催プログラムに位置づけられている。東日本大震災後に継続されてきた同芸術祭の集大成を披露するとともに、三陸地域の復興の歩みも発信する。
 『髪長姫』には、大槌虎舞協議会(大槌町)、中野七頭舞保存会(岩泉町)、十一日町えんぶり組(青森県八戸市)、オマ・ガムラン(インドネシア)、シルバーベルダンスグループ(カンボジア)の5団体とサポートアーティストら約70人が出演する。
 各芸能の魅力を生かした演出や、共通する楽器〝竹笛〟を引き立てるオリジナルの音楽を組み合わせ、三陸に伝わる民話をベースにした物語を表現。物語は「大波にさらわれた浜の女が龍神様の子を宿して村に戻り、富をもたらすも、権力者の欲に嘆きほこらに隠れてしまう。すると村に飢餓や疫病が広がり、村人や改心した権力者がほこらの前で踊りを踊り続けると、女がほこらから出てきた」──というストーリーで展開する。
 陸前高田市内での収録は高田町の奇跡の一本松ホールで行われ、大槌虎舞協議会、中野七頭舞保存会、十一日町えんぶり組が参加。各団体の単独パフォーマンスに加え、すべての団体が参加するフィナーレなど各シーンのカットを撮影した。
 12日に公開される映像は、今回の収録映像と国外の団体の収録映像を合わせ、一つの作品に仕上げる。『髪長姫』に加え、陸前高田市広田町の喜多七福神によるオープニングパフォーマンス、各団体関係者のインタビュー動画を含め約100分ほど。
 同芸術祭は、昨年は新型コロナウイルスの影響で中止となり、2年ぶりとなった今年も国内外の芸能関係者が顔を合わせる交流プログラムを断念。
 しかし、オンライン交流等でイベントに関わった芸術祭関係者らが「次のステップにつなげられる作品を作りたい」と熱い思いを抱き、逆境をバネに5月から各団体が稽古を進めてきた。
 同芸術祭ディレクターの前川十之朗さん(55)は、今年の芸術祭テーマ「縦(じゅう)」について「縦につながる三陸やアジアが一つになり、目に見えないけれど確かにあるつながりを未来に向けて発信したい。そんな思いを込めた」と語る。
 また「各地で大切に守られてきた芸能は、コラボレーションすることで、まったく新しい世界や可能性が広がっていく。大人たちが見せる〝かっこいい〟芸能が、将来の子どもたちの目に魅力的に映るきっかけにもなれば」と期待していた。
 映像は動画配信サイト・ユーチューブで無料公開される。