道路整備の方向性問う 市議会一般質問2日目 港湾活用、避難確保など巡り

▲ 2日目の一般質問も5議員が登壇

 大船渡市議会9月定例会は9日、通告に基づく一般質問が行われ、熊谷昭浩(新政同友会)東堅市(同)平山仁(改革大船渡)山本和義(日本共産党大船渡市議団)滝田松男(同)の5議員が登壇した。道路整備は複数議員が取り上げ、赤崎と大船渡両地区における新規ルートについて、港湾活用や避難路確保などの面から市の対応を追及。当局は、地区要望などを踏まえた検討状況を示した。

 道路整備を質問したのは熊谷、平山両議員。熊谷議員は内陸部への横軸道路ネットワーク強化を訴える中で「物流拠点としての永浜・山口地区工業用地の利活用促進を図る上で、赤崎地区における新規ルートの整備が必要」と指摘した。
 阿部博基都市整備部長は、国際リニアコライダー誘致実現時には、荷揚げや関連産業誘致など拠点としての役割が期待されるとし、港湾設備や同工業用地の重要性を強調。赤崎地区の津波、洪水想定区域を迂回(うかい)する新規ルートの整備を県に働きかけている動きを示した。
 そのうえで「既存道路の活用に向けた取り組みと合わせ、新規ルートの整備について、地区要望をもとに必要性を含めた検討を進める。平常時・災害時を問わず安定的な輸送を確保するため、主要地方道大船渡綾里三陸線の重要物流道路指定を目指す」と述べた。
 平山議員は、東日本大震災を教訓としたまちづくりの中で、震災直後に国道45号が通行不可となった状況を振り返った。避難行動への影響を挙げながら「現在も同様のリスクが残されている。課題解決に取り組む必要がある」と迫った。
 阿部部長は、現在も津波警報が発表された場合、通行止めとなる大船渡町・旧おさかなセンター付近〜大船渡警察署前の大部分は既存市道が迂回ルートとなる一方、加茂交差点付近の一部区間には迂回ルートがない状況を説明。三陸沿岸道路も、震度5弱以上の地震時は点検作業のため、一時的に通行止めとなるという。
 さらに、地域要望が出ている状況も踏まえ、昨年度から行っている明神前地域と笹崎を結ぶ新ルートの検討に言及。「整備には多額の事業費が見込まれ、効果的なルートの選定や財源確保について、引き続き検討を進める」と答えた。
 東議員は、給水区域外などの生活用水確保に向けた施設整備支援策を質問。本年度予算に盛り込まれている補助金交付制度について説明を求めた。
 下田牧子市民生活部長は「地理的条件などで水道水の供給が行われていない一部区域は、井戸水や沢水のにごり、取水口のつまり、枯渇などがあり、安定した確保が課題で、支援策を検討してきた」と説明。補助金交付制度は今月から始まり、補助対象経費は水源確保や給水施設の整備に要する経費、補助対象経費から10万円を控除した額の8割で、300万円を限度としている。
 伊藤真紀子市民環境課長は、市内2カ所での予算措置想定に言及。関連質問で今野善信議員が個人による補助申請への見解を求めたのに対しては「今回の要綱では『おおむね3戸以上』と規定している。施設整備で終わりではなく、飲用に適する水を供給するための施設であり、維持管理も行ってもらうもの」と答えた。
 吉浜地区の大規模太陽光発電事業を取り上げた山本議員は、市と事業所の土地賃貸借契約変更を巡る不適正な事務処理を追及。「市長は遡及(そきゅう)文書の内容は昨年9月ごろ認識したというが、情報公開された『不適正事務の顚末(てんまつ)書』によると、昨年4月22日ごろには職員から書類をもとに口頭でも説明を受けていて、覚えているのではないか」とし、見解を求めた。
 戸田公明市長は「決済の際に、工事の着手期限を1年延長するといった説明を受けたが、契約日の遡及までは担当職員から説明はなかったと記憶している」と答弁。これまでの説明通り、契約日の遡及を初めて知ったのは、市議会常任委員会による審査が行われた昨年9月だったとの認識を示した。
 滝田議員は、新型コロナウイルス感染対策の現状を巡り、当局と論戦。「PCR検査を『いつでも、だれでも、何度でも』の立場で事業所や学校、保育園、学童クラブ等で進めるべきでは」「8月12日の県独自による緊急事態宣言以降、客数減少などで事業所にとって厳しいものになっている。新たな対策は」とただした。
 PCR検査について、金野久志保健福祉部長は「保健所は濃厚接触者に加え接触者も広範囲に検査を行い、封じ込めを行っている。医療機関でも検査体制が十分に確保されている。県の専門委員会でも感染リスクが高くない状況での一斉、定期的な検査は推奨しないこともあり、広く一般の方々が検査する状況にはない」と発言。 
 事業者対策に関し、今野勝則商工港湾部長は「飲食店の来店者減少や宿泊客のキャンセルなど人の流れに大きな影響が出て、経営状況が一層厳しさが増している。政府から8月下旬に新型ウイルス対応の地方創生臨時交付金における事業者支援分の追加配分が示され、より効果的な支援策を検討している」と述べた。