返礼品改良へモニター調査 ふるさと納税 8月からリニューアル品提供

▲ 8月に陸前高田市で開かれた返礼品の提供事業者向け勉強会。商品の魅力向上へ学び合った

モニター調査を行いリニューアルした「けせんの海・鳳凰膳」

 陸前高田市のふるさと納税「陸前高田がんばっぺし応援寄附金」の返礼品取り扱い業務を担う「ふるさと陸前高田」は、登録商品の改良に取り組んでいる。寄付者らの協力のもと返礼品のモニター調査を行い、8月からリニューアル品の提供が始まった。新型コロナウイルス禍の巣ごもり消費拡大などを背景に、全国的に返礼品競争が過熱する中、関係者が地域活性化にも寄与するべく、さらなるブランド化を目指している。

 

事業者らブランド化推進

 

 ふるさと陸前高田は、同市の陸前高田地域振興㈱(佐藤忠広代表取締役)と北上市の㈱フロムゼロ(登内芳也代表取締役)の共同企業体。昨年12月、地域のヒット商品を生み出そうと、寄付者の声を集めて返礼品の開発・改良を図る「寄附者とつくる返礼品プロジェクト」を始めた。
 対象の返礼品は、海産物や菓子など6品。全国から公募した一般寄付者に加え、ふるさと納税コンサルタント、飲食店の料理人ら計9人に商品を郵送し、感想・意見を聞いた。
 リニューアル版第1弾は陸前高田地域振興の「けせんの海・鳳凰膳」で、8月に提供を開始。数の子入りの松前漬けの上に、独自の製法で味付けしたイクラ、アワビ、フカヒレを盛り付けた同社の看板商品で、昨年度のふるさと納税では5300件を超える申し込みがあった。
 モニター調査で味付けや酒の風味の改善などを求める意見が寄せられ、松前漬けを自社製造に切り替えた。フカヒレは、固まらないよう味付け後に入れ物と分けて個包装し、湯煎して味わえる仕様に変更。盛り付け方も見直した。
 同社営業部の金野賢二課長(36)は「自分たちでは考えが及ばない寄付者の率直な声を聞くことができ、非常に参考になった。自信を持って出している商品ゆえに、工法の変更、調整は大変だったが、万人においしいと思ってもらえるよう今後も寄付者の皆さんとやり取りできれば」と成果を語る。
 ふるさと納税は、出身地や応援したい特定の自治体に寄付できる制度。寄付金のうち2000円を超える金額について所得税の還付、住民税の控除を受けられる。
 同市への寄付額は、平成28年度から令和元年度まで毎年4億円台で推移し、昨年度は過去最高の約6億5000万円に伸びた。本年度は8億円達成を目指している。
 同市で取り扱われている返礼品は、現在約600品。ふるさと陸前高田は随時、同プロジェクトへの市内事業者の参加を受け付けている。
 ふるさと陸前高田の佐々木真紀オフィスマネジャー(36)は「陸前高田は高品質な特産品などが多くあるが、数量が少ないのが課題。だからこそブランドを磨き、付加価値を加えていくことが求められる。市内事業者の所得向上にもつながるよう頑張っていく」と意気込む。