出生地 陸前高田で演奏へ 打楽器奏者 はたけやまさん 30日に震災追悼コンサート

▲ 高田松原の被災マツを使った演奏を披露する予定のはたけやまさん(コンサート事務局提供)

 陸前高田市生まれのパーカッショニスト・はたけやま裕さんら一流アーティストが出演する東日本大震災の追悼コンサートが30日(木)、小友町の正徳寺(千葉達住職)で開かれる。はたけやまさんは両親の実家がある同市に、物心両面の支援を続けてきた。高田松原の被災マツを使って製作した打楽器「カホン」で、被災地に思いを寄せたオリジナル曲などを披露する予定で、「市民参加型のコンサートにしたい」と話している。

 

被災マツのカホンも披露

 

 埼玉県育ちのはたけやまさんは、中学校の吹奏楽部で打楽器を始め、国立音楽大卒業後の日本打楽器協会新人演奏会で最優秀賞を受賞。桑田佳祐さんや井上陽水さん、加藤登紀子さんをはじめ著名なアーティストと多数共演し、ソロ活動にも力を入れている。
 ドラマーで、女優のシシド・カフカさんが主宰する打楽器奏者集団「el tempo(エル・テンポ)」のメンバーとして、東京パラリンピック閉会式にも出演した。
 震災後は、出生地の陸前高田市への支援にも注力。仮設住宅を訪れ、被災者に音楽を届けたほか、チャリティーコンサートを開いて市に益金を寄付した。津波の経験と教訓の伝承に取り組む同市の「ハナミズキのみちの会」のテーマソング『ハナミズキの願い』を作曲し、同曲をタイトル名にしたアルバムもリリースした。
 今回のコンサートには、ボーカル・佐藤竹善さん、バイオリン・古澤巌さん、キーボード・伊賀拓郎さんが出演する。押しも押されもせぬ名アーティストがそろい、はたけやまさんは「日本を代表する音楽家ばかりで、みんなスケジュールの合間を縫って出演していただく。東京でもそう見られないステージを届けられると思う」と喜ぶ。
 カホンは、大船渡市の製材業・鹿児島屋から被災マツの提供を受け、8月に完成した。被災地で音色を響かせるのは今月9日の南相馬市(福島県)に続いて2度目となる。自身の最新アルバム『You's Literary Notes 宙〜sola〜』(全15曲)のサブタイトルにもなっている震災10年の追悼ソング『宙〜sola〜』などを披露する。
 はたけやまさんは「子どもの時は陸前高田の祖母宅に遊びに行くのが一番の楽しみだった。コンサートには多くの人に来場してほしい」と呼びかける。
 千葉住職は「震災から10年が過ぎた中で、素晴らしい音楽家の方々が被災地を忘れずにいてくれるのは大変ありがたいこと」と感謝する。
 当日は午後6時開演(同5時開場)、同7時30分終演の予定。チケットは一般3000円(中学生以下無料、全席自由)で、当日券も同額。正徳寺でも販売している。
 問い合わせは、同寺(℡56・2229)まで。