オンラインで交流実現 市内の高校生らが米国陸上コーチらと対話 ホストタウン事業の一環で(別写真あり)
令和3年9月19日付 8面
復興ありがとうホストタウン事業の一環で、東京2020オリンピックに出場した米国陸上コーチや選手と、大船渡市内の高校生らによるオンライン交流会が18日、同市役所で行われた。陸上部に所属する生徒たちがレース時の心構えや練習方法などについて質問し、コーチや選手が分かりやすく回答。今後の成長を誓うとともに、交流継続や対面での再会実現にも期待を寄せた。
五輪開催に伴うホストタウンは、参加した外国人選手との交流にとどまらず、スポーツや文化、経済の多様な分野でつながりを生み、地域の活性化に生かす取り組み。同市では震災から復興した姿を示しつつ、これまでの支援への感謝を伝えようと、米国関係者らと交流を深める予定を組んでいた。
しかし、8月に市内で計画していた陸上選手らによる交流事業は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止に。オンラインによる交流に切り替えた。
参加したのは、米国男子短距離・ハードルコーチのダリル・ウッドソン氏(51)と、バルバトス代表のシェーン・ブラスウェイト選手(31)、リベリア代表のエマニュエル・マタディ選手(30)。両選手は米国を活動拠点とし、ウッドソン氏から指導を受けている。
市役所では大船渡高校と大船渡東高校の陸上部生徒計9人と、戸田公明市長らが臨んだ。冒頭、戸田市長が英語でスピーチを行い、震災直後の米国関係者による支援などを振り返った。
引き続き、生徒たちの質問に答える形で、ウッドソン氏らと交流。「オリンピックはどんな雰囲気か」との問いに対して、ウッドソン氏は「本当にみんなが長い間努力をして、勝ち取った場。結果はどうであれ、参加することに意義がある。みんなが勝者であることを知る場」と語った。
「速く走るためのコツは」と聞かれると、マタディ選手は「自分を信じ、一貫性を持って努力を」とアドバイス。ブラスウェイト選手も「強いメンタリティーを持って、毎日努力をすれば、必ず結果はついてくる」などと述べた。
ウッドソン氏はスタートダッシュをはじめ、技術面も分かりやすく解説。「スピードを高めるのは強さ。1歩のステップに、力があるかどうか。股関節を前に力強く押し出すことが大切」とし、歩幅に合わせて三角コーンを置いた練習方法などを紹介した。
高校生たちは終始熱心な表情で聴講。最後に高校生たちは画面の前で手を振って感謝を伝えたほか、ウッドソン氏は「いつか会えることを楽しみにしている。つながりを持ち続けたい」とあいさつした。
大船渡高校1年の船野寿陽君は「スタートラインに立った時に何を考えているかや、プレッシャーを生まないコツも聞くことができた。いろいろな考えを持っていることが分かった」と話していた。