新型コロナウイルス/津波伝承館 宣言解除で利用再開 約1カ月ぶり 震災を学ぶ人の姿戻る

▲ 利用を再開した東日本大震災津波伝承館内

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う県の緊急事態宣言発令により休館となっていた陸前高田市気仙町の東日本大震災津波伝承館は、宣言解除に伴い18日から利用を再開した。同日は地元内外から多くの人が来場し、約1カ月ぶりに震災や防災を学ぶ人たちの姿が戻った。同館では今後も新型ウイルスの感染症対策を徹底し、安心安全に施設を利用できる環境づくりに努める。

 

今後も感染対策徹底へ

 

 同館は、先月12日に県独自の緊急事態宣言が発令されたことに伴い、翌13日から臨時休館。奇跡の一本松や「海を望む場」など復興祈念公園内の国営追悼・祈念施設とパークガイドサービスも、利用休止の状態が続いていた。
 各施設とパークガイドは、今月16日に宣言が解除されたことに伴い18日から利用を再開。同日、36日間にわたる休業を経て開館した同館には、午前中に約100人が来場し、館内の震災遺構やパネルなどの展示物に目を向けた。
 和田あづささん(52)=兵庫県西宮市出身=は「阪神淡路大震災を経験した身で、三陸に行きたいという思いがずっとあった。コロナの状況でどうなるか分からなかったが、無事ワクチンを接種でき、東日本大震災から10年がたったこの年に津波伝承館に足を運ぶことができて良かった」と話した。
 同館によると、秋の観光ツアーや小中高校の修学旅行などの団体予約は9月がピークとなる。
 臨時休館の期間には当初、団体予約が計195件あり、すべてキャンセルとなったが、今月21日(火)から10月にかけて入っている予約には対応できる見込みとなり、藤澤修副館長は「なんとか間に合ったという思い」と胸をなで下ろす。
 臨時休館中、同館のスタッフらは館内清掃のほか、案内スキル向上を目的にした独自の研修会を開くなど、いつでも利用を再開できるよう準備を進めてきた。
 藤澤副館長は「団体客が多いこの時期に、震災や防災について伝える当館が長期間休館となったことは残念だったが、運営を再開できてほっとしている。今後も感染対策を徹底し、万全の状態でお客さまをお迎えしたい」と話していた。
 開館時間は午前9時~午後5時。