岩手2区 与野党対決軸に準備加速 衆院議員任期満了まで1カ月 鈴木、大林、荒川各氏が出馬へ
令和3年9月21日付 1面
10月21日(木)の衆議院議員の任期満了まできょうで1カ月。気仙3市町を含む岩手2区は、20日時点で自民党の現職・鈴木俊一氏(68)=9期、立憲民主党の新人・大林正英氏(57)、「NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で」(NHK党)の新人・荒川順子氏(68)の3人が立候補を予定している。鈴木氏、大林氏は今月、それぞれ気仙でも街頭宣伝活動を行うなど、支持拡大を図り、一大決戦への準備を加速。与野党対決を軸とした選挙戦となる見通しとなっている。
鈴木氏は19日、盛岡市内で自民党県第2選挙区支部の選挙対策会議に出席。報道陣の取材に応じ、発災から10年半が過ぎた東日本大震災からの復興完遂へ地域コミュニティーの再生をはじめ、ソフト面での後押しや、新型コロナウイルス禍の経済対策充実などへの意欲をにじませた。29日(水)投開票の総裁選では、岸田文雄前政調会長(64)を支持する考えも示した。
今月3、
4日にかけては気仙に入り、3市町の各地区を回り、一昨年に立ち上げた気仙地区後援会で支える市議、町議が応援に立った。連立与党・公明党の市議の姿もあり、同党県本部との連携も見込まれる。
各地で行った街宣では、9選を果たした平成29年の前回選後も党総務会長や東京五輪担当相を務めた実績を強調。「培った経験、人脈など、いい意味での影響力を行使し、県の課題を国政の場で解決することができるよう、継続して働きたい」とアピールした。
喫緊の課題に新型ウイルス対策を挙げ、「安心した日常を取り戻すため、ワクチン接種を希望する方が一日も早く完了できるよう、接種率をさらに向上させる取り組みに力を入れたい」とした。コロナ禍で打撃を受けた経済対策は「切れ目なく、補正予算の編成も視野に入れ、さらなる充実を図っていきたい」と政権・与党の立場から訴えた。
気仙地区後援会発足後は、水産や建設分野の業界団体の要望にも耳を傾けてきた。4日に訪れた大船渡市魚市場では水産業の従事者らを前に、大学卒業後に全漁連で勤めた経歴に触れながら「水産政策は自分の働く分野だと思ってきた。近年は海の環境が変わり、不漁で苦労していると思う。大変厳しい県下の状況であるが、乗り越えられるようにしっかりやっていきたい」と支持を呼びかけた。
対する野党。今月は県組織の実務者会議が重ねられ、共産党県委員会と社民党県連合は、2区で立民が公認予定の大林氏を県内野党の統一候補として支援する方針を確認。連合岩手も大林氏の推薦を決め、急ピッチで足場を固めている。
大林氏は今月16日、直前まで市議を務めていた釜石市で事務所開きを行い、立民県連副代表の木戸口英司、横澤高徳両参院議員や県議、釜石後援会の支持者らが出席。大林氏は「岩手から日本を改革できなければ日本は沈没する。信頼できる政
治に、素晴らしい日本にするために岩手から変えていく」と表明した。
県連選対委員長も務める木戸口氏もマイクを握り、「大林さんは市民の皆さんと共に復興、地域課題解決へと汗をかいてきた。その行動が多くの市民、県民の心を動かしてきた。皆さんと新しい政治の共感の風を起こし、必ず政権交代を2区から実現すると誓い合いたい」と結束を促し
た。
気仙では、もともと立民の小沢一郎県連代表に近い市議、町議らと連動。達増拓也県知事と共に写った「2連ポスター」も張り出し、6日には大船渡、陸前高田両市などで街宣した。
菅義偉首相の退陣について「(コロナの)『大災害』に対し、致命的な失敗を犯した結末の一幕」と政府・与党の対策を批判。「崩壊しかけている医療を支える仕組みは待ったなしだが、自民党の(総裁選の)『政治ゲーム』のために国会が開かれず、対応がストップしている。政権を任せておくわけにはいかない」と語気を強めた。都市部と地方の格差を念頭に、地方の医療環境を再整備する必要性も訴えた。
釜石市の復興支援員や市議として活動した経歴を紹介し、「お世話になったご恩をお返ししたく、一生懸命働く」と力を込めた。
NHK党の荒川氏は今月、動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」で出馬記者会見を公開。立花孝志党首と並んで臨んだ記者会見で、「日本を復活させたい。日本人とはどうあるべきか、DNAを目覚めさせたい」などと訴え、「専業主婦の私が出ることによって、みんなを幸せにしたい。自分だって、僕だって、私だって選挙に出られると思ってもらえると思う。その先駆けとして立候補したい」としている。
選挙区で演説などの予定はなく、今後も同サイトを中心に訴えるとみられる。
衆院選は自民党総裁選後、首相指名選挙を行う臨時国会を経て、任期満了日を過ぎてからの投開票となる可能性が高まっている。
1日時点の2区の有権者数は37万0327人(男性17万7896人、女性19万2431人)。気仙3市町は5万913人(男性2万4411人、女性2万6502人)。