新校舎 再来年3月完成へ 第一中学校改築事業 市が工事契約を締結

▲ 第一中新校舎・新屋内運動場の完成イメージ図

 大船渡市は24日までに、立根町の第一中学校改築事業に関する工事請負契約締結を結んだ。入札の結果、工事は鴻池組・コンノ建設特定共同企業体(JV)が担い、金額は26億7300万円。既存校舎から校庭を挟んだ北側に、市内の小中学校では初となる鉄筋コンクリート造・鉄骨造4階建て校舎と屋内運動場を整備する。工期は令和5年3月15日(水)まで。

 

敷地北側に4階建て構造


 現在使われている校舎や屋内運動場は昭和37年竣工で、建設から59年が経過。建物や設備の老朽化が著しく、学校統合による生徒の増加や学習指導要領の改訂などにより、現状に合わせた適正な環境整備が求められていた。
 令和元年度に学区内地区や学校、PTA関係者による建設委員会が発足。市議会の意見を取り入れながら設計案をまとめ、現在の校地内北側に校舎と屋内運動場を改築する方針が固まった。
 校舎・屋内運動場棟は、鉄筋コンクリート・一部鉄骨造の4階建て。延べ床面積は7960平方㍍。
 校舎1階には技術室や調理室、特別支援室、職員室、校長室、保健室、会議室、屋内運動場のアリーナ・ステージなどが入り、2階には普通教室や理科室、武道場などを配置。3階に普通教室や音楽室、美術室が入り、4階は主に普通教室や多目的室を整備する。
 このほか、グラウンドには100㍍走路や200㍍トラック、野球場、テニスコート、サッカー場、部室に加え、駐輪場やバスロータリーも確保する。
 本年度と来年度に、校舎と屋内運動場の改築を行い、竣工後、新校舎に移転。令和5年度に旧校舎を解体し、グラウンド整備を行う。
 今回の改築事業は、新たな学びの場としての整備に加え、復興期間終了直後の大型事業の側面も持つ。昨年の市議会全員協議会で市当局は、概算事業費のうち校舎・運動場整備工事費は38億円で、グラウンド整備や校舎解体工事に9億円と示し、説明を受けた議員から「地元発注に配慮を」といった発言もあった。
 工事契約は市議会での議決案件となり、今月22日の9月定例会本会議で全会一致で可決された。一方で、複数の議員が質問に立ち、概算事業費に比べ契約金額が大幅に下回った点や、県外拠点のゼネコンと市内業者のJVによる指名競争入札とした狙いなどで論戦を交わした。
 差額に関して、市当局は「昨年行った基本設計の額で概算していた。実施設計を受け、事業内容の精査や単価内容の見直しを行った。入札の結果、低価格入札調査基準となり、さらに大きく下回った」と説明。指名競争入札には6事業体が参加し、5事業体が低価格入札調査の対象となった。入札後のヒアリングの結果「妥当」と判断し、最も低い価格の事業体の選定に至ったという。
 新型コロナウイルスの経済的な影響や、東京オリンピックに伴う工事需要の収束もあり、各業者の受注意欲の高まりも受け、競争性が高まったとみる。基本設計の昨年段階では、そういった状況を見極めにくかったという。
 また、市当局は今回の改築事業を「市内小中学校では初となる4階建て構造の大規模工事。既存校舎を生徒が利用する状態で建築を進めることから、安全性確保がより求められる。建築、電気設備工事等それぞれが大規模であり、これらの施工管理や調整も工事の特徴」と位置づける。
 そのうえで、指名競争入札とした判断について「大規模工事のノウハウ、施工管理能力を有し、入札として執行できる競争性確保のほか、地元業者の育成を考慮し、市外業者と市内業者のJVとした」とする。工事関係者の宿泊といった波及効果が期待されるほか、下請けには地元業者の活用を求めるという。
 市は改築工事とは別に、立根川沿いの通学路整備工事にも着手。改築に伴う敷地の改変に合わせ、狭さや通学の安全確保など、長年の課題解決を図る。宮田橋~下欠橋間は歩道がなく、狭い部分の舗装幅は約3㍍と、日常的な車両往来にも支障をきたしていた。
 計画延長は約600㍍。車道幅員は4・5㍍~5㍍で、校舎側に幅1~2・5㍍の歩道をつける。まずは校舎に面した区間から着手し、令和4年度までの完成を見込む。