新型コロナウイルス/売上減、受注停滞の懸念強く 商議所会員に通算5回目アンケート

 大船渡市と大船渡商工会議所は、同商議所会員事業所に実施した新型コロナウイルスの影響に関するアンケート調査をまとめた。通算5回目で、先月末までに約550事業所が回答。「影響が継続し、売り上げが減少している」と答えたのは今回も半数を超えた。今後懸念される影響では「売上・受注の停滞、不振」を挙げ、先行きに厳しい見方を持つ回答が目立った。必要とされる支援策では「情報提供」と答える割合も目立ち、同商議所では新たな制度周知を含め、各事業所へのきめ細やかな浸透に力を入れる。

 

「影響が継続」今回も半数超


 新型ウイルスの経済面への影響は、昨年3月から顕在化。アンケート調査は、地域経済や中小企業の状況を把握しながら適切な支援に取り組み、国や県に必要な要望を行うため実施している。
 今年4~5月の調査以来5回目で、対象は会議所会員の1587事業所。回答数は552事業所で、回収率は34・8%だった。
 結果を見ると、経営面で「マイナスの影響が継続している」と回答したのは50・7%。前回の54・5%、前々回の54・4%よりも下回っているが、依然として半数を超え、多くの事業所が苦しむ実態が改めて浮き彫りとなった。
 「現時点で影響はないが、今後影響が出る可能性がある」は20・8%。「影響が出たが、すでに収束した」が8・2%、「特に影響はない」は14・9%。「プラスの影響がある」はゼロだった。
 前回に続き、売り上げ規模別=別掲=でも集計。「影響が継続」と回答したうち、1000万円未満は63・2%で、前回の62・8%から微増。1000万円以上の回答では減少傾向が見られる中で、小規模事業所の深刻さが浮かび上がった。
 影響を受ける事業所を主要業種別でみると、最も割合が高かったのは飲食の94・7%。宿泊業も70・6%と高いが、90%を超えた前回に比べると下落に転じた。卸売業や製造業、小売業、サービス業、医療・福祉も50%以上となった。
 影響が出ている事業所に前年同月との売り上げの比較を聞いたところ、「50%以上減」が18・9%。「30%以上減」は20・7%で、「20%以上減」は16・8%だった。
 「50%以上減」となった事業所の割合は、建設業が29・4%で最多。次いで飲食業25・5%、小売業21・1%、サービス業17・9%などが続く。新型ウイルスの影響に加え、復旧・復興事業の収束による〝ダブルパンチ〟も考えられる。
 「新型ウイルスに関連して、今後懸念される影響」は三つまで回答可とした=同。最多は「売上・受注の停滞、不振」が75・4%。次いで「資金繰り」が40・2%、「従業員の雇用」17・9%、「原材料の調達・仕入れの確保」が13・8%となっている。従業員の雇用に関しては、特に宿泊業での回答割合が高かった。
 必要とされる支援策の設問も、回答を三つまでとした。これまでの調査と同様に「売上減少事業者への補助金・給付金」が最多で60%。次に多かったのは「支援策に関する情報提供」で、42・9%に達した。このほかに「税や公共料金の猶予」「融資など資金繰り支援」がそれぞれ2割を超えた。
 同商議所の齊藤光夫専務理事は「昨年の段階では、今年まで深刻な影響が続くと思っていた会員事業所は多くなかったのではないか。影響が長期化して多くが先行きに不安を抱えている。小規模事業所に影響が直撃しており、バブル崩壊やリーマンショック時とも違う傾向も出ている」と話す。
 8月から9月にかけての感染拡大を受け、市や県では補正予算を組み、新たな経済対策を打ち出した。支援策が多様化している中、同商議所では〝申請漏れ〟がないよう、相談・周知に力を入れることにしている。