延期・規模縮小も伝統継承  佐野契約会の元服式 地域貢献誓いながら押印 (別写真あり)

▲ 生徒たちに記念品を渡し、飛躍への期待を込めた熊谷会長㊧

 大船渡市赤崎町の佐野契約会(熊谷亨会長)による第171回元服式の記念品配布は26日、同町の佐野契約会館で行われた。毎年1月の「成人の日」に合わせて実施しているが、今年は新型コロナウイルスの影響で延期し、感染防止徹底のため規模を縮小。それでも江戸時代末期から続く伝統をつなぎ、高校などで活躍する15〜16歳の若者が続々と訪れ、地域貢献の決意を新たにした。

 

15~16歳の19人が対象

 

 同契約会は嘉永4年(1851)、地域の結束や引き締めなどを目的に発足。以降、同会への加入儀式である元服式を伝統的に受け継いできた。
 元服式の対象者は佐野、沢田、赤崎中井の3地域在住で、年度末に中学校を卒業する生徒たち。今年は、1月11日の開催を予定していたが、新型ウイルスの影響で延期としていた。 
 卒業前の実施もにらみながら検討を重ねきたが、影響収束の見通しが立たないまま推移。市内でもワクチン接種が進む半面、10代を中心とした若年層は予約にも時間を要する状況となっていることから、記念品のみの配布とした。
 171回目の対象者は、現在15〜16歳の男子11人、女子8人の計19人。会館内での「3密」を避けるため、男女1組ずつ10分ごとに時間をずらして招待した。
 例年は、生活の心得を示す「嘉永四年の定(さだめ)」や、新入会者代表による同会綱領の順守を誓う「宣誓」の読み上げ、ぶどう液での「契りの杯」を交わすといった儀式が行われる。今回は宣誓書の押印のみに限定し、熊谷会長が今後の活躍に期待を込めながら、記念品を手渡した。
 最初に訪れ、押印を終えた大船渡高校1年の佐々木喬矢君は「今年はできないと思っていたので、うれしかった。周りの人に気づかいができ、困っている人がいたら助けてみんなの役に立つ大人になりたい」と話していた。
 高田高校1年の田代彩花さんは「少し緊張したけど、無事に終えることができた。ボランティア活動に参加したり、地域の魅力を広げる取り組みもやっていきたい」と語り、笑顔を見せた。
 熊谷会長(63)は「コロナの影響でなかなか開催できず、申し訳ない思いがあった。高校生に対しての配布となり、少し大人びた雰囲気があったように思う。元服式は地域や自分を見つめ直すことができる機会。東日本大震災以降も途絶えずに実施しており、伝統を重ねていきたい」と、今後の継承を誓っていた。