サル対策 地域一丸で 町が位置情報システム導入 中沢公民館に基地局

▲ 中沢公民館に設置された基地局

 住田町は、動物位置を把握できるシステム「ANIMAL MAP(アニマルマップ)」の基地局を世田米の中沢公民館敷地内に設置した。サルによる農作物被害が増加傾向にある中、サルの行動域把握と被害防止対策を目的としたもので、サルにGPS首輪発信器を取り付け、群れの行動域のデータを積み重ねていく。システム動作確認やその後の地元農業者への周知を経てから、本格運用が開始となる。

 

今後、本格運用へ

 

 県内のニホンザルの群れは大船渡市、釜石市、住田町にまたがる五葉山に存在し、この2市1町での被害が顕著。同町では、平成26年ごろから町内の集落付近に出没するようになり、野菜など農作物への被害が続いている。
 町内のニホンザルによる農作物の被害は増加傾向にあり、令和元年度の被害は49㌃、金額で45万円だったが、2年度には124㌃、56万6000円と急増。これまでの被害は主に上有住だったが、昨年度は世田米の中沢地域でも被害が相次いだ。その対策として、上有住の五葉地区や世田米の中沢地域では電気柵を設置し、その効果を実証している。
 町がサルの行動調査を委託している宮城県仙台市の東北野生動物保護管理センターからの令和2年度分の報告によると、今年1月20日~2月12日にかけて上有住地区でサルの群れが確認され、同時期に世田米でも目撃情報があったことなどから、町内に二つの群れが存在している可能性が高いと示された。
 これを受け、町は釜石市が県内で先駆けて導入していた「アニマルマップ」を使っての行動域把握に取り組むこととし、今月15日に中沢公民館に基地局を設置した。
 アニマルマップは、GPS首輪発信器を取り付けた野生動物の位置情報を、机上から簡単に確認することが可能になる動物位置情報システム。
 群れから離れずに生活するメスのサルを捕獲して首輪を取り付けており、この首輪からは夜中と、午前6時~午後6時は3時間おきに基地局に信号が送られ、それがインターネット上の専用サイトに反映される仕組み。
 サルは早朝に活動するため、夜中にいた場所を確認して対策を講じたり、データを積み重ねて行動傾向をつかむことにも役立てる。
 町では、行動域を閲覧できるサイトのIDやパスワードを農業者とも共有していく予定。群れの行動範囲や出没状況などを共有することで、農家や関係者が対策を事前に検討できるようにもなるため、自分の畑だけでなく隣近所の畑も見守るなど、一体的な体制構築にもつなげたい考え。今後は、五葉地区への基地局設置も予定している。