新型コロナウイルス/9割接種へ〝最後の課題〟 ワクチン供給確保急ぐ 市議会特別委で当局が説明

 大船渡市議会(三浦隆議長、19議員)が設置した新型コロナウイルス感染症対策特別委員会(船野章委員長、議長を除く全議員で構成)は28日、市当局を招いてワクチン接種状況などの説明を受けた。ファイザー社製の接種が順調に進む一方、対象者のうち9割が接種を希望する予想に対し、当局は10月以降の供給量が希望数に届かない可能性に言及。インフルエンザ対応もあるため同下旬をめどに医療機関による個別接種は打ち切る一方、集団接種ではモデルナ社製ワクチンの使用も検討するなど、11月中の希望者接種完了を目指す。

 

モデルナ社製導入も検討

11月の希望者完了目指す

 

 市役所議員控室で開かれた特別委員会には、全委員が出席。市側では、武田英和新型コロナウイルス感染症対策室長や金野久志保健福祉部長、今野勝則商工港湾部長らが臨んだ。
 ワクチン接種状況に関しては、金野部長が概要を説明。これまでファイザー社製で接種を進め、実施済みや供給が確定した量の合計は、対象人口(12歳以上)の82・9%分。先行的に行った高齢者の状況から、接種は対象人口の90%まで進む予想となっている。
 これを受け、個別や集団接種の予約状況を加味すると、約2500人が予約をとれずに待たされる状況と推定。市内の接種率は県や全国平均を上回っており、今後は県内で接種が遅れている地域にワクチン供給が進む見通しも示した。
 金野部長は「今後、市にファイザー社製のワクチンがまとまった数が供給されるのは見込みにくい状況。集団接種については、49歳以下の集団接種の状況が進んでおらず、スムーズな供給が見込まれるモデルナ社製の導入に向け、県などと調整を進めている」と述べ、理解を求めた。
 さらに、個別医療機関ではインフルエンザワクチンの接種をはじめ繁忙期を迎えるとし、接種体制を再整備する必要性にも言及。「希望者の早期完了に向けて進めていきたい」と語った。
 引き続き、担当職員が現在の接種状況を解説。集団接種のうち、小売・製造従業員向けは10月上旬の開始に向け調整を重ね、別会場での要配慮者接種は今月25日に始まった。
 現時点で、今後の市へのワクチン供給量は、希望数に届かない可能性が大きい。10月末で一時的に枯渇し、その後も供給開始時期は未定で、少量供給にとどまるという。
 今後の課題として▽現在の在庫分・確定分をどのように使うか。集団接種で49歳以下の予約受付を実施できていない半面、子どもの接種希望ニーズは高い▽ファイザー社製ワクチンの極端な先細りへの対応▽インフルエンザ予防接種への対応準備──を挙げた。
 個別接種は、各医療機関の予約状況を踏まえつつ10月をめどに終了する一方、予約を受け付けた分は可能な限り供給。各医療機関では、インフルエンザ予防接種の準備に入る。
 同下旬以降は集団接種が中心となり、従来のファイザー社製に加え、モデルナ社製も使用し、接種機会の確保を図る。県庁医療政策室と調整を重ね、49歳以下の予約受付時期に関しては、週明けの公表・周知も視野に入れる。
 こうした対応を重ね、国や県が想定する「希望者への11月接種完了」を目指す方針。その後も、満12歳を迎える小学6年生の接種対応など、体制確保を進める考えも明らかにした。
 経済対策に関して当局は、市議会9月定例会で議決された補正予算を財源とする「飲食店感染防止対策支援金」「特産品販売促進事業費補助金」などを説明。委員からは「1~3月の閑散期における対策も考えてほしい」といった発言が寄せられた。
 市が示した現在のワクチン接種体制は別掲。