自慢のカキ 豊洲へ出荷 気仙両市で今季のむき身作業始まる あす初競り(別写真あり)

▲ 手際よく殻むき作業が行われ、活気にあふれる作業場

 気仙両市で29日、今季のカキ出荷に向けたむき身作業が始まった。気仙産は東京・豊洲市場でも高い評価を得ており、生産者は新型コロナウイルスの影響で動向が不透明な市場での高値にも期待しながら出荷作業に励んでいる。

 

高値期待も市場動向不透明

 

出荷に向けて水揚げも盛んに行われている

 陸前高田市小友町の両替漁港では同日朝から夕方まで、むき身カキを生産している養殖漁家3軒が出荷作業に追われた。
 このうち、鈴木栄さん(70)は午前7時ごろから養殖施設につるしているカキを水揚げした。作業場では、妻・実津子さん(67)や長男・晃夫さん(41)らとともにナイフを使って手際よく「海のミルク」を取り出し、大きさや品質別に次々とボウルに入れた。
 同市では2年貝の出荷が主流だが、両替地区は湾奥に位置し、比較的波が穏やかな海洋環境の特徴を生かして3年間じっくりと育てた大ぶりのカキを生産している。広田湾漁協が上場した鈴木さんのむき身は昨秋、豊洲市場であった初競りで、全国最高値の10㌔5万円で買い取られた。
 今季の成育は順調といい、鈴木さんは「昨年のこの時期より抱卵しているカキが少なそうだ。まずまずのものはできている」と手応えを語る。一方で「買い手がある話なので、コロナで飲食店などにお客さんが入っていない状況でどうなるのか。一日も早くコロナが収束して引き合いが活発になればいいのだが」と不安も口にする。
 この日は数十㌔を同漁協に出荷し、30日に豊洲市場に向けて運び出される。水揚げやむき身作業は来年3月ごろまで続ける予定。
 同漁協によると、令和2年度の取り扱い実績は、むき身が数量122㌧、金額2億1614万円。殻付きが420万8400個、3億7817万円。本年度は、むき身126㌧、2億1600万円、殻付き430万個、3億9000万円を目指している。
 同漁協総務課の出羽隆一課長は「コロナ禍の影響で市場の動向は分からない。少しでも高く買い取られることを願うばかりだ」と話した。
 一方、大船渡市漁協は毎年、豊洲市場での初入札に向けたトラック便の出発に合わせて9月末に出荷式を開いているが、今年も新型ウイルス感染症防止などのため、昨年に続き見送る。