独自の学びに理解深める 新設教科の地域創造学 町内各学校で授業公開

▲ 各校で行われている地域創造学の授業を公開

 住田町教育委員会や町内小中学校、県立住田高校が主催する「文部科学省研究開発学校指定第5年次学校公開研究会」は29日、町内各学校で行われた。世田米小、有住小、世田米中、有住中、住田高校では、平成29年度から独自の新設教科「地域創造学」に取り組んでおり、この日は各校の学習、取り組みの様子を県内教育関係者に公開し、学習成果を共有。参観者は、豊富な地域資源を生かした〝住田ならでは〟の学習のあり方に理解を深めた。
 地域創造学は、同省による研究開発学校事業の一環。同年度に世田米小、有住小、世田米中、有住中、住田高の5校が指定を受けた。教育実践の中で浮かび上がる諸課題、時代に対応した新しいカリキュラムや指導方法の開発を目指しており、学習指導要領等の国の基準によらない教育課程を編成・実践できる。本来であれば研究開発学校としての指定期間は令和2年度までの4年間だったが、新型コロナウイルスの影響によって思うように授業を展開できなかったことを受け、指定期間が1年延長された。
 第4年次の学校公開研究会は新型ウイルスの影響で中止となったため、今年は2年ぶりの開催。この日は、県内の学校教育関係者、町内各校教職員、地域創造学に協力している地域住民「ゲストティーチャー」らを合わせて200人余が参観した。
 はじめに、リモートでの全体会が開かれ、菊池宏教育長のあいさつや、町教委の千葉邦彦指導主事によるこれまでの研究開発の概要発表を役場から各校に配信。
 千葉指導主事は発表の中で、「児童生徒や教師の意識の高まり」「地域との協力体制確立」といった成果を紹介し、「地域創造学をさらに充実した学びとしていくためには、より効果的な異校種間連携の形の追求が不可欠」「児童生徒だけでなく、教師や地域、保護者も含めて考えたうえで、地域創造学を今後も持続可能なプログラムとしていくための取り組みの精選」といった課題にも触れた。
 このあと、各小中学校、高校で授業を公開。有住小学校では、5年生が地域創造学の一環で取り組む「住田の宝〜森林をいかした町づくり〜」などの授業が展開された。
 同校5年生は、町が目指す「森林・林業日本一の町づくり」を題材に探求活動を展開しており、同日は、町内でニュースポーツ「クッブ」の普及拡大に取り組んでいる町教委の多田裕一教育次長に児童がインタビュー。
 児童らからは「どうして住田でクッブを広めようと思ったのか」との質問が上がり、多田次長は「木に触れる機会を増やしてほしかった」「クッブは道具をすべて木で作っているので、森林・林業日本一を目指す住田にぴったりなスポーツだと思った」などと説明。児童らは積極的に質問を投げかけ、普及に向けた苦労や将来の展望も引き出した。
 公開授業後は各会場での授業研究会が開かれ、終了後、上越教育大学大学院学校教育研究科の河野麻沙美准教授が「探求が地域を創る:学びと育ちを支えるカリキュラムづくり」と題してオンラインで講演した。