東日本大震災10年/「ありのまま」伝える場に 防災学習館あすから運用 赤崎・漁村センターを改修(別写真あり)

▲ 実際に使用・備蓄されていた物資を展示

 大船渡市が赤崎町の漁村センター内で整備を進めてきた防災学習館の運用開始セレモニーは29日、現地で行われた。10年前の東日本大震災では300人を超える被災者が身を寄せた「ありのままの避難生活」を伝え、防災・減災につなげようと、震災直後に寄せられた支援物資を展示品として活用。他の津波伝承施設と連携を図り、総合的な防災学習充実などにつなげる。10月1日(金)から稼働し、当面は事前予約制で見学を受け付ける。

 

避難時物資などを展示

 

津波被害状況を紹介するスペースも確保

 セレモニーには市や観光物産協会、博物館、赤崎地区の関係者ら約10人が出席。戸田公明市長は「手作り感あふれる大船渡らしい施設が完成した」とあいさつし、関係者による見学が行われた。
 館内の2階中会議室では津波被害の状況を、小会議室では避難所生活の様子や復興の歩みなどをそれぞれ紹介。1階の調理実習室には実際に使用した調理器具や非常食を置き、談話コーナーでは各種支援や地域の歴史を示している。
 これまで、施設整備の監修を務めてきた東北大学災害科学国際研究所の柴山明寛准教授が、特徴や狙いを解説。
 このうち、小会議室では「実際に寄せられた生活物資の一部を並べている。サイズ違いのものが必要など、実際に目で確認できる」と説明。米軍の「トモダチ作戦」の一環で届いた毛布や、支援で寄せられたランドセルも並べている。
 また、市内外の既存施設にはない防災学習、伝承機能に関しては「特に、災害時に『共助』『公助』がどう行われたかが分かる。新しく整備された施設が多い中、実際に使われた避難所が学習館に活用された場は珍しい。自主防災を学ぶ場所としても有効ではないか」と話した。
 漁村センターはかつて、赤崎地区公民館としても活用されていた。道路向かいには赤崎小があり、発災直後は下校途中だった児童が坂道を駆け上がってきた。
 センターが立つ周囲を津波が襲い、消防団員は子どもたちを2階に上げ、さらに脚立を用意して屋根へと移動させた。施設は、辛うじて浸水を免れた。
 避難生活では、最も多い時で336人が身を寄せた。仮設入居が始まった5月には180人に減り、7月25日にゼロとなった。
 この間、衛生や食料、物資、清掃などの各係を定め、支え合いながら生活。苦難を乗り越える規律性が、高い評価を受けた。
 同地区公民館の金野律夫館長は「ここで寝泊まりしたことや、米軍のヘリコプターが来たことなどを伝えれば、子どもたちにも理解が広がるはず。語り部の育成や、施設を活用した避難体験なども行っていくことができれば」と語る。
 市は、防災学習センター等整備検討官民会議の協議を踏まえ、昨年12月に市防災学習ネットワーク形成基本計画を策定。博物館など他の施設と連携を図りながら、市の総合的な防災学習の場となる施設を整備しようと、漁村センターの改修を進めた。
 整備基本計画や防災学習館の詳細設計・整備、展示等コンテンツデータ作成業務の事業費は計約5600万円。学習館整備は今年3月から進め、㈱乃村工藝社に委託した。
 開館時間は午前9時~午後5時で、休館日は毎週水曜日と盆期間、年末年始。入館料は無料。当面は、1週間前までに予約が必要。今後は予約なしでも見学できるよう常時開設を目指す。
 申し込みは同地区公民館(℡22・9833)。館内ガイドの相談にも応じる。